研究課題/領域番号 |
17K01223
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
植田 宏昭 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70344869)
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研究分担者 |
高谷 祐平 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (30782289)
立花 義裕 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (10276785)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | オホーツク海高気圧 / チベット高気圧 / 南アジア高気圧 / ローカルハドレー循環 / Q1, Q2法 / 線形傾圧モデル / PJパターン / スベルドラップバランス |
研究実績の概要 |
オホーツク海高気圧(OH)の時空間構造とその形成要因について診断的・解析的に明らかにした。コンポジット解析から、OH は5・6 月は順圧的、7・8 月は傾圧的構造となっている。OHが発達した際の地表面気温を調べたところ、オホーツク海とその北側のユーラシア大陸との北向き正の温度コントラストが顕著になるとともに、OH 発達時のオホーツク海の海面水温偏差は、顕著な低温偏差を示していた。冷たい海面水温は局所的な下降気流の強化を通して対流圏下層の高気圧性循環を強めるとともに、前述の海陸温度コントラストの増加を通し、正のフィードバックとして、上層の高気圧性循環を強めていることが明らかになった。OHの強化においては、6・7 月の梅雨前線活動に伴う定常応答、7・8 月はフィリピン周辺域を起源とした負位相のPacific-Japan 型のテレコネクションの寄与が認められた。 対流圏中上層に出現する高気圧性循環の時空間構造の形成要因について、松野・ギル型の大気の熱源応答、および渦度収支の視点から明らかにした。チベット高気圧と称される夏の高気圧性循環は、対流圏の上層に極大を持つ暖気核を伴っていることを示した。暖気核における熱収支解析により、暖気の東側では南アジアの降水活動に伴う非断熱加熱が主要な昇温過程である一方で、西側は下降流による断熱加熱が重要な要因であることを定量的に示した。この高気圧性循環は、南アジアの深い対流活動に起因したスベルドラップバランスを介した高気圧性の渦度によって作られることが渦度収支解析で確認された。この高気圧性循環は北半球の冬になると、100°Eから170°Eにかけての経度帯において、赤道から15度ほど離れた両半球側に移動する。その要因については、熱帯の対流活動に起因するローカールハドレー循環に伴う極向きの高気圧性渦度の輸送と収束によって説明可能である。
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