本年度は、日本・世界の任意の地域の地形断面図を複数重ねて表示するWebサイト「Web地形断面図メーカー」を完成させ、2019年10月の地理情報システム学会で発表した。また、時系列地形図閲覧サイト「今昔マップ on the web」では、収録範囲をすべての県庁所在都市、および人口20万人以上の市を含む範囲に拡大し、全国41地域となった。これにより、高校で必履修科目となる「地理総合」においても、比較的身近な地域での新旧地形図の比較を行うことができるようになった。 さらに、Web ブラウザ上で動作する軽量・高速なGIS(地理情報システム)である「ブラウザGIS」については、かなりの程度開発が進んでいる。機能はWindowsデスクトップ版地理情報分析支援システム「MANDARA10」から、地図データを編集するマップエディタを除いたものとし、その他の機能は引き継ぐ。開発言語はJavaScriptであり、プログラムはWebブラウザ内で動くため、サーバーへの負荷がかからないという特徴がある。Webブラウザ上で動作するため、インストール作業は不要で、WindowsでもMacでもOSにかかわらず利用でき、タブレット端末でも利用できる。 既存のWebGISでは、処理が遅かったり、ユーザーインターフェースに難があって使いにくいものが見られるが、現在はまだ試作中であるものの、本サービスは高速な描画と優れたGUIにより、従来のWebGIS以上に使いやすくなっている。2020年4月には「MANDARA-JS」試作版を公開しており、今後も随時機能を追加して「地理総合」開始時には完成した状態にもっていく計画である。
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