研究課題/領域番号 |
17K01231
|
研究機関 | 福岡女子大学 |
研究代表者 |
湯田 ミノリ 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (60625531)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 地理教育 / STEM教育 / フィンランド |
研究実績の概要 |
フィンランドの新しい学習指導要領について、学習指導要領に関連する書籍および教科書の収集を実施し、内容の分析を継続して行い、学習指導要領の内容については学会発表を行なった。昨年度の調査の結果を受けて、地方都市を対象として、地方の独自性をどのように学習指導要領の内容に反映させているのかも含めて調査することにしたので、フィンランド南西スオミ県の県庁所在地であるトゥルク、南部島嶼地域にあるケミオ島、および東部の北カルヤラ県の県庁所在地ヨエンスーにおいて、中学校および高等学校における地理および生物の授業の事例収集を実施した。 地理の実際の授業においてSTEM的な要素をどのように含みながら行われているのか、また地理と同じ教科グループにある生物の実際の授業において、地理的な要素が含まれているのかを調査するとともに、地理の教科書におけるSTEM的について検討をするために調査を行なった。実際に授業に参加して分かったことは、どの学校でも教科書をよく活用しており、特に章末に掲載されているまとめの課題を授業で取り入れている。それらの課題は、データから表計算ソフトグラフを作成し操作したり、計算をしたりするものを含んだり、内容も自然および人間環境問題を含むなど、他の自然科学科目と合わせた思考が必要なものが多い。そしてさらにインターネットを活用して調査したことをまとめたものをeラーニングプラットフォームより、提出させているという点も共通している。こうした課題は、PCによる解答作成方法も含め、大学入学資格試験(Ylioppilastutkinto)の内容とも大きく関連していることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進んでいる。現地調査に関しては、小学校について授業の事例収集の協力を得ることが非常に困難を極めたが、一方で中学校および高等学校では事例収集を行なうことができた。次年度も現地調査を引き続き行なっていく。 資料収集についても、順調に進めることができた。資料内容の分析も概ね順調に進んでいる。 教員養成に関する調査については、東フィンランド大学において調査を行う方向で調整を進めている。 成果発表については、カリキュラムの部分について、一部学会発表を行なった。
|
今後の研究の推進方策 |
2018年度は中学および高等学校での授業収集が中心となり、計画段階で昨年度実施予定にしていた小学校での環境の授業の事例収集が2019年度になったため、確実に授業事例収集が実施できるよう、計画を進めていく。 地理教員養成の調査については、ヨエンスーにある東フィンランド大学において、調査を行い、教員免許を取得するための必要な科目や、実際の授業内容についてなど、現地で調査を行う。 またこれまでの調査結果を踏まえ、教科書で扱う内容だけでなく、教科書内の章末の課題について、どのような問題や作業を含んているのかをまとめ、分析する作業を行なう。 最終年度であるため、こうした調査結果を、より多くの人々と共有するために、学会や研究会で積極的に発表していくとともに、論文を出す準備を進めていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
現地調査旅費が、他の資金の用務と合わせて行くことになり、調査旅費が節約できたことによる。 次年度は、この分と合わせて、現地調査の費用および資料整理の人件費として使用する予定である。
|