研究課題/領域番号 |
17K01246
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
宮代 隆平 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50376860)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | OR / 整数計画法 / 数理計画 / 最適化 |
研究実績の概要 |
本研究は,非凸な目的関数を持つ離散最適化問題に特化した整数計画アプローチを追求するものである.非凸な目的関数を持つ離散最適化問題は厳密な最適解を求めることが困難であるため,従来はヒューリスティクスによる近似最適化が用いられてきた.一方で,厳密最適解を求める研究として整数計画法を用いるものが多数あるが,それらのモデリング手法やアルゴリズムの性能はいまだに不十分である.本研究では,整数計画法による離散最適化問題のモデリングおよびアルゴリズムの構築を,非凸な目的関数を持つ離散最適化問題に特化させて展開し,より大規模な問題を高速に解けるようにすることが目的である. 研究初年度である平成29年度の研究計画としては,非凸な目的関数を持つ離散最適化問題のモデリングに注力する計画を立案していた.特に,離散的な凸関数と非凸関数の和で表される離散最適化問題のモデリング,および従来注目されていなかった同種の構造を持つ離散最適化問題の再検討が主目的であった. 研究実績として,まず離散的な凸関数と非凸関数の和で表される離散最適化問題として近年注目を集めている,機械学習におけるLp正則化問題における整数計画アプローチの高速化を行った.この問題は,申請者らのグループが既に整数計画アプローチを提案していたが,求解がかなり低速であるという問題点があった.これについて,問題の意味を変えることなく目的関数のサイズを減少させ,また分枝限定法による枝刈りを洗練することにより10倍程度の高速化に成功した.また,非凸非線形な目的関数をもつある種のネットワーク設計問題において,従来の手法では扱えなかった問題設定を定式化可能なモデリング構造を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究計画は,非凸な目的関数を持つ離散最適化問題のモデリング,および同種の構造を持つ離散最適化問題の再検討が主目的であった.研究実績の概要に記載したように,本年度はLp正則化問題に対する高速化,ある種のネットワーク設計問題に対する新たなモデリング手法の開発を行った.これらのことから,研究は現在までおおむね順調に進展していると判断する. ただし,当初の研究計画にあげていた整数変数の個数を対数オーダーに抑えたまま緩和問題の性能が悪化しないモデリング手法の開発については,研究として困難な部分がかなり大きかったため,変数の個数を対数オーダーに抑えた場合の定式化に対するヒューリスティクスの研究についても今後考えていく. 一方で,機械学習分野の中で扱われる変数選択問題において多重共線性の除去という大きなテーマが存在するが,本研究課題で扱っている整数計画法によるモデリング手法が予想された以上に効果を発揮する可能性が出てきたため,今後の研究の進展によっては機械学習分野における非凸非線形な離散最適化問題のモデリングに注力する可能性がある.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策としては,当初の研究計画通り「双線形項を含む目的関数を持つ離散最適化問題の数値不安定性の除去」「非凸な整数計画問題に特化した前処理アルゴリズム」「非凸な整数計画問題に適合した分枝順序の解析と改良」「Primalヒューリスティクスとの相互作用を重視したモデリングの追究」を随時行っていく.特に,「双線形項を含む目的関数を持つ離散最適化問題の数値不安定性の除去」については,ある種の問題ではモデリング手法の工夫により双線形項を解消できる事が判明したため,平成30年度に力を入れて研究する予定である. また,現在までの進捗状況にも記載したように,数変数の個数を対数オーダーに抑えたまま緩和問題の性能が悪化しないモデリング手法の開発については,変数の個数を対数オーダーに抑えた場合の定式化に対するヒューリスティクスの研究についても考慮する.さらに,機械学習分野における非凸非線形な離散最適化問題のモデリングについても,機械学習の重要性を鑑みつつ可能な範囲で現実問題への応用につながる研究を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた,研究データ整理のためのアルバイト雇用が,プログラムを開発したことにより不要となったため.発生した次年度使用額は10万円未満であり,次年度に問題無く執行可能である.
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