研究課題/領域番号 |
17K01250
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
柳 在圭 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (20324494)
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研究分担者 |
阪口 龍彦 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00403303)
前田 隆 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (40157136)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 循環型生産システム / Pull-Push型生産方式 / スケジューリング手法 / 多目的最適化問題 |
研究実績の概要 |
Pull-Push型生産方式の生産ルール、工程間の生産指示情報の伝達方法、循環型生産システムへの適用のために必要な前提条件などを既存の手法(JIT、TOC)と比べ、その基本的な構成要素と特性を明らかにした。さらに、既存の生産システムと異なる閉回路のシステム構造である循環型生産システムに、後工程や制約工程の定めが必要である既存の手法を適用することは困難であり、新たな手法であるPull-Push型生産方式が有効であることを明らかにした。 また、Pull-Push型生産方式の基本構造である2つの連続した工程についてその効率性(前工程;稼働率、仕掛り在庫の低減、後工程;納期)と、環境性(CO2排出量、資源採取量、廃棄量など)を同時に考慮する多目的性を含め、実時間内に最適な生産スケジューリングを行う必要がある。そのことから、スケジューリングの求解法としては、最適化問題の厳密解法を求めるよりも、むしろメタヒューリスティックに基づく求解法の開発を行った。その求解法は、従来の多目的解析手法であるMOEA(Multi-Objective Evolutionary Algorithm)をMOON2(Multi-Objective Optimization with value function modeled by Neural Network)における単一目的最適化問題の解法として利用する工夫を与え、これより導出される選好最適解の事後進化を同じMOEAを用いて効果的に行うための手順についての提案を行い,伴って実施すべき事後解析の実用面での重要性を示した。そして多数の決定変数と制約条件によって定式化される省エネルギ・省資源に向けた複数車体構造の設計のための実用ベンチマーク問題に適用してその有用性の検証を行う。さらに、開発した多目的最適化手法を循環型生産システムの生産管理手法(Pull-Push型生産方式)における有効な最適化手法であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題を進めていく上で、先進的な生産管理方式(Pull-Push型)の基本構造とそれによる循環型生産システムの全体最適化を目指す多目的最適化問題の求解法が必要不可欠であったが、研究の初年度(2017年度)に達成出来たことで、おおむね順調に研究が進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
循環型生産システム全体における最適化の実現のために、Pull-Push型生産方式を循環型生産システムの全体最適化を目指す有効な生産管理方式として定着させる。そのためには、2017年度に実績を用いて、あらゆる循環型生産システムモデル(製品再生産、部品リユース、材料リサイクル)を想定して計算機上で仮想的に構築した上で、システムの固有特徴(閉ループ、回収・再生の不確実性など)により、システムの全体に及ばす影響とその要因を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外研究発表や学会参加費などが当初の計画と異なったことで「次年度使用額」が生じた。それを翌年度に国際会議に研究発表を行うために必要な旅費などに当てます。
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