研究課題/領域番号 |
17K01251
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
関谷 和之 東京理科大学, 経営学部経営学科, 教授 (60256667)
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研究分担者 |
山本 芳嗣 筑波大学, システム情報系(名誉教授), 名誉教授 (00119033)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 経営効率分析 / 数理工学 / オペレーションズリサーチ |
研究実績の概要 |
いくつかのトピックについて研究を行った。まずは,多段階構造の基本単位である2段階構造に注目し、多くの分析事例と深く理論展開がなされている単段階DEAに1種類の中間財を導入した2段階DEAをメインに進めた。特に、開催前年となったオリンピックおいて, DEAをベースにした各国のメダル獲得に関するモデル化と実証分析を実施した。その研究結果を2019年9月の日本OR学会で発表した。オリンピックおける各国のメダル獲得に関する既存研究では,重回帰分析によるメダル獲得予測とDEAによるメダル獲得効率性評価の2つのアプローチが報告されている。いずれも,獲得メダル枚数を研究対象にしているが,提案した中間財1種類の2段階DEAモデルでは,獲得したメダル枚数だけでなくメダル価値を評価可能であり,さらに,目標獲得メダル数に対する実現可能性の可否を判定可能である.これは従来のアプローチである重回帰分析と単段階DEAモデルでは実現できない分析機能である.この結果をまとめた論文は国際学術論文誌に向けて執筆中である。また、単段階DEAの重要な分析結果である改善目標提示機能に対して,実践面での要求である実現容易な改善目標の探索することを検討した.具体的には,最短距離DEAに対して研究代表者が提案した工夫を中間財1種類の2段階DEAモデルに導入することに取り組んだ,これらの結果については昨年度3月の学会で発表予定であったが,学会中止となり,論文として改訂作業中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅延の主な理由は2点である. 当初予定していた前任校でのプログラムコンテストでの敢闘賞審査に関わることが無くなったために,提案するモデルの性能評価に実践ができなくなったことがその理由の1つである.そのため,実践性を考慮した研究対象を探すことに時間を割く事になった.研究対象として選ぶ上で重要なことはデータの入手可能性と評価結果の妥当性検証の2点である.この2点を満たす研究対象はオリンピックおける各国のメダル獲得に対する評価であった.研究期間延長を決定した2020年2月には2020年東京五輪は開催予定であったが,2020年5月時点で2021年に延長が決定した.そのため,評価結果の妥当性検証が困難になることが予想される.
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今後の研究の推進方策 |
今後は中間財1種類の2段階DEAモデルに焦点を絞って,単位不変性,単調性などの効率性尺度の性質を保証するモデル開発とその適用を実施する予定である.適用事例の1つに2020年東京五輪におけるメダル獲得効率性分析があったが,2020年5月時点で2021年に延長が決定した.この点が今後の課題となる.そのため,提案する中間財1種類の2段階DEAモデルによる評価結果の妥当性検証が可能な適用事例を調査することが必要になる. 現時点では,過去の五輪での実績を評価することを考えている.また,新しい適用事例,顧客の購買行動分析への取り組みを検討している.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画した実践での検証が,研究代表者の勤務変更ために困難になった.さらに,コロナ対応にために,当初予定していた2月3月の出張を取りやめた.これらの理由により次年度使用額が発生した. 本年度の助成額では,研究成果をまとめて国際専門誌に投稿するために発生する費用に充当する.
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