研究課題/領域番号 |
17K01266
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
竹本 康彦 近畿大学, 理工学部, 准教授 (70382257)
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研究分担者 |
有薗 育生 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (20175988)
崎山 朋子 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (30770052)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 歩留まり / Bullwhip効果 / Taguchiの損失関数 / 変化点検出 / 情報可視化 |
研究実績の概要 |
(1)サプライ・チェーン上での需要変動の増大現象はブルウィップ効果としてよく知られており,この対策に関する研究が実践されている.一方,工程では不良品が発生することがしばしばあり,これを踏まえて生産に必要な原材料が前工程に要求される.本研究では,不良数による歩留率の推定が,後工程の需要に対応するために必要とする在庫量の変動に比べて前工程への発注量の変動を大きくする,すなわちブルウィップ効果が存在することを確認した.さらに,その影響の大きさに関する「可視化」を検討した. (2)通常工程で製造される製品にはバラツキが存在する.本研究では,バラツキとして表現される品質をコスト概念と結びつけ,工程異常の見過ごしがどれだけのムダを発生するのか,あるいはどれだけの損失を生じるのか,といった点を可視化する方法について探究した.理論構築を実践するとともに,「可視化」のための情報技術を用いたアプリケーション開発に着手し,プロトタイプの作成に至った. (3)統計的工程管理分野の研究に,変化点検出(CPD: Change Point Detection)と呼ばれる研究がある.CPDでは,時系列的データにおいてデータの分布特性の経時的変化を念頭に,いつ変化したのか,またどのように変化したのかを得られたデータから推定する方法である.本研究では,工程特性として不適合品率を対象とし,従来と比較して,工程状態の推移をより緻密に抽出することができる方法の開発に着手した.また,この状態変化の様子をグラフィカルに表現するための方法について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「見える化」「可視化」のための方法論を実現するために昨年度より着手していたアプリケーション開発において,プロトタイプを作成するに至った.また,当該研究の成果においては,論文化に着手するに至っている.また,一部研究については,国際会議にて発表すべく準備中である.一方,2年目については,文献調査等,様々な情報収集の面において十分でなかったといえる点がある.以上を踏まえ,全体を俯瞰する限り,「概ね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度の成果を踏まえて,文献調査やより緻密な理論構築を展開し,アプリケーション開発ならびに研究成果の発表を遂行する.具体的には以下の通りである. (1)現状のモデルにおいて数値実験を繰り返すことで,ブルウィップ効果に関する詳細な情報を収集し,分析を実践する.さらに,より複雑でかつより多様な現実を表現するモデルを構築する. (2)統計的工程管理に関して,すでに開発したアプリケーションの高度化,ならびに多面的な可視化手法の考察とそのアプリケーション化を実践する. (3)不良品の混入やオプション契約など,サプライ・チェーン上で展開される契約手法において,設計パラメータによる意思決定を行うための情報を「可視化」する方法を検討・提案する
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次年度使用額が生じた理由 |
理由としては以下の2点が上げられる. (1)研究成果の発表について,海外大手出版社のQ1ジャーナルだったため,掲載費が必要にならなかった. (2)BIツールについて調査したところ,Microsoft Power BIなどでは無料で使えることなどから,経費として特段必要がなくなった.
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