研究課題/領域番号 |
17K01276
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
片桐 英樹 神奈川大学, 工学部, 教授 (40325147)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ファジィ / 確率 / 最適化 / 献立 / 数理計画 |
研究実績の概要 |
平成30年度では,学校給食献立作成に焦点を当て,現場の様々な制約を考慮した最適献立作成手法について検討を行うとともに,一部の成果について日本給食経営管理学会・学術総会で研究発表を行った. まず,年度初めにおいて,給食経営管理分野の専門家へのヒアリングと給食の調理実習現場での実地調査を行った.このヒアリングと調査により,平成29年度で構築した最適化モデルでは考慮に入れていなかった「調理器具」と「調理時間」の制約,「食器」の制約など,現場では重要と考えられている制約条件が明らかになった. 次に,調査内容を踏まえて,新しい制約条件を踏まえた献立作成モデルを数理最適化における組合せ最適化問題として定式化した.献立作成の現場においては,献立に厳密に満たすべきハード制約(例:予算,調理時間)と,厳密には満たされる必要は無いができる限り満たしたいソフト制約(例:栄養摂取量)の2つの種類の制約が存在する.そこで,ハード制約条件の下で,ソフト制約に対する逸脱度を目的関数として最小化する問題として定式化した. また,現場の不確実性・不確定性を考慮するために,ファジィ確率変数を用いることにより,健康障害の発生リスクを定量的に表現する方法と相競合する目的を同時に考慮した解を対話的に導出する計算アルゴリズムについて検討を行った.栄養摂取基準の達成可能性(可能性測度)に対して「ばらつき」を計算し,可能性測度に関する分散最小化モデルやVaR(Value at Risk)モデルの構築を行い,数理最適化問題として定式化した.さらに,本研究の基礎となる最適化モデルおよびアルゴリズムの研究を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
献立作成モデルの定式化および解法については一部予定が遅れているところがあるが,一方で,給食経営管理分野の専門家へのヒアリングや調理現場での実地調査は予定以上に進んでおり,全体として順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
給食経営管理分野の専門家へのヒアリングで新しく明らかとなった現場の制約条件があり,現時点ではまだ一部を組み込んでいない.当初の計画には無かった内容であるが,現場で適用可能な献立作成モデルの構築のためには重要な観点であり,研究課題に密接に関係している内容であることから,今後も優先的に取り組んでいく.
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次年度使用額が生じた理由 |
ファジィ集合理論関係の洋書の一部が絶版で手に入らなかったものがあり,次年度使用額が生じた.次年度は確率計画およびファジィ確率計画関係の書籍購入に使用する予定である.
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