研究課題/領域番号 |
17K01286
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
岩谷 靖 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (10400300)
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研究分担者 |
鳥飼 宏之 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (50431432)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 火災 / 消火 / 最適戦略 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,火災消火において火源への消火剤の輸送方法を工夫することで消火効果を向上させる手法を確立することにある。消火法はゴム風船を利用したカプセル消火法を採用する。具体的には,不活性ガスを充填したゴム風船を火炎に接触・破膜させることで高濃度の不活性ガスを火炎の直近から供給することで消火を行う。 平成30年度は主に以下の二点について取り組んだ。一つは,昨年度までは不活性ガスとしてヘリウムのみを使用していたが,本年度は不活性ガスとしてヘリウムに加え,窒素,アルゴンの二種類の不活性ガスの消火特性を確認したことである。もう一つは,消火カプセルの火炎への突入速度に対する消火特性を確認したことである。 実験は以下の手順で行った。まず,ゴム風船に不活性ガスとして窒素またはアルゴンを充填し,消火カプセルを作製する。この消火カプセルを電動スライダに固定し,指定した輸送速度で消火カプセルをメタン-空気拡散火炎へと突入させる。この際の消火過程をハイスピードカメラで撮影し,消火の原理を確認するとともに,消火の可否を統計的に調査し,消火特性を検討した。 結果として,消火に最適な消火カプセルの輸送速度が存在することがわかった。すなわち,輸送速度は,遅すぎても早すぎても消火効率が減少する。また,消火に最適なゴム風船の輸送速度範囲は,不活性ガスの熱容量の増加とともに拡大することもわかった。一方で,速度が大きい場合は,理論値からのずれも大きくなることも確認された。これは消火カプセル輸送時にカプセルが揺れ,火炎との接触位置や破膜位置が変化することに起因するものと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定では本年度の目的はカプセル数を増加した際の消火特性の解析にあった。しかし,カプセル数の増加に対応した消火特性の解析には,その基盤を得ることが必要であると認識し,上記の実験結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,カプセル数を増加し,最適消火戦略を調査する。
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