研究課題/領域番号 |
17K01295
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
村上 ひとみ 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (10201807)
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研究分担者 |
高田 和幸 東京電機大学, 理工学部, 教授 (30282867)
阿部 郁男 常葉大学, 大学院・環境防災研究科, 教授 (30564059)
小山 真紀 (田原真紀) 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (70462942)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 津波避難 / 南海トラフ地震 / 自転車避難 / 自転車ネットワーク / 津波避難ビル / ブロック塀調査 / 避難シミュレーション / 宮崎市 |
研究実績の概要 |
南海トラフの巨大地震発生に備え、高台まで遠く、避難建物が少ない海岸平野部では、自動車避難を望む住民やコミュニティが増えている。しかし、自動車避難が増加すれば渋滞が悪化し、逃げ遅れる危険が予想される。避難における自動車依存を軽減する手段として自転車を提案するには、それが有効となる地理的条件、津波条件を検討する必要がある。自転車レーン等の整備が自転車の車道通行を促し、津波からの避難に自転車を利用する環境改善につながるのかどうかを、多角的な観点から調査分析をすすめている。 研究初年度の平成29年度は、主たる研究フィールドとして宮崎市を対象として、2度のヒアリング調査により、宮崎市の津波ハザードの地理的条件、市による避難ビルの整備、避難訓練の実施状況等を明らかにした。さらに、高ハザードエリアに位置する宮崎海洋高校と避難ビルとなっているマンションの自治会にヒアリングし、避難訓練と避難経路・コミュニティの課題を考察した。 一方、愛知県田原市堀切地区では従来から避難訓練に自転車を活用しており、研究代表者・分担者らにより避難訓練のGPS経路測定や住民アンケート調査を進めているが、今年度は街路のブロック塀調査を実施し、地域の自治会による避難路点検マップづくり活動と研究者グループの意見交換会を行うとともに、自動車、自転車にとっての避難経路の信頼度評価を試みた。堀切地区の避難シミュレーションでは、徒歩と自動車、自転車の分担率の変化による避難先への到達所要時間の検証を進めている。 浜松市の雄踏地区で中学校避難訓練に自転車が活用されており、経路の危険度評価と経路選択の課題について検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主たる研究フィールドである宮崎市において市の防災対策課及び都市計画課へのヒアリングを実施し、津波避難対策及び自転車ネットワーク整備の状況を把握した。併せて、避難ビルとなるマンションや津波ハザードエリアの高校ヒアリングも進め、次年度の津波遡上シミュレーション・避難経路と避難手段のシミュレーションを進めるための基礎情報を入手している。 従来からの研究フィールドである愛知県田原市での避難経路の危険度調査と避難シミュレーションは前進しており、避難先として避難マウンドを設定したシミュレーションは途中段階である。浜松市雄踏中学校での避難訓練について、津波シミュレーションをもとに、所要時間と自転車活用の効果を検討すべく、準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
宮崎市及び浜松市における津波浸水ハザードの予測、津波遡上の時空間的シミュレーションを進める(阿部の担当)。 宮崎市では避難ビルと指定避難所の階数、容量について地理的分布の分析により、避難ビルの偏在、過不足を明らかにする。宮崎海洋高校における生徒の登下校時の避難意向と日常の自転車通行実態についてアンケート調査を実施し、自転車レーン整備の効果と避難時交通手段の課題を検証する(研究代表者と研究協力者の宮崎大学・熊野稔が担当)。時間的空間的制約のもと、浸水危険エリアからの脱出可能性を自転車・車・徒歩の移動手段分担率をパラメータとするシミュレーションにより検討する(高田・小山の担当)。 浜松市雄踏地区では中学生の自転車・徒歩避難を測定調査し、経路選択の指針、自転車と徒歩の共存留意点、自動車が増えた場合のリスク、対応策を検討する(阿部・高田の担当)。
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次年度使用額が生じた理由 |
宮崎市でのヒアリング調査に参加予定の研究分担者2名の日程都合が調整困難であったことと、調査内容を、初年度の収集資料の分析を踏まえて効果的に実施する都合が生じたため、次年度使用額が生じた。使用計画としては、宮崎市でのヒアリング調査及び浜松市での避難訓練調査等に支出する予定である。
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