研究課題/領域番号 |
17K01308
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
高橋 広人 (高橋広人) 名城大学, 理工学部, 准教授 (00650821)
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研究分担者 |
平井 敬 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (00708373)
倉田 和己 名古屋大学, 減災連携研究センター, 特任准教授 (50579604)
飛田 潤 名古屋大学, 災害対策室, 教授 (90217521)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地震波干渉法 / 列車振動 / 交通振動 / 地下構造探査 / 表層地盤 / 地下構造モデル表示システム |
研究実績の概要 |
本年度は、地盤構造推定に関しては、列車走行速度が高い新幹線による振動を地震波干渉法への適用、また、昨年度測定した地下鉄振動の振動記録より地下鉄走行時を除く自動車等の交通振動を地震波干渉法へ適用した表層地盤構造推定の適用性の検討を行った。システム構築に関しては表層地盤構造モデル(土質分布、N値分布)を任意の南北、東西断面でインタラクティブに表示するWebシステムを試作した。 新幹線による振動の地震波干渉法への利用については、名古屋市立明治小学校敷地において,5m間隔で21点のセンサーを配置し1日6時間の連続計測を2日、計12時間の記録を得た。擬似加振記録の合成に用いた列車走行サンプルの数は324である。結果、上下成分の擬似加振記録については波動伝播が比較的明瞭に観察されるが水平成分では明瞭に現れず、列車走行速度によるS/N比の改善が水平動には影響しないことを確認した。 自動車等の交通振動を地震波干渉法への利用については、163.84秒間で約190サンプルをスタックした場合、40.96秒間で約760サンプルをスタックした場合で擬似加振記録を確認した。結果、得られた擬似加振記録ではどちらの場合も反射波に相当すると思われる位相は明瞭ではないが,擬似加振点から離れた受振点では分散しているような波群が確認された。 Webシステムについては、長方形の範囲内の地盤構造をアイソメトリック図状に表示し断面図は範囲の端の2面が表示される。表示範囲はスクロール移動・回転・縮小可能で断面もインタラクティブに切り替わる。また地表面に地図・標高陰影図を貼り付けることで利用者が位置を把握しやすくし、旧版地形図を切り替え表示可能とし土地の経緯を把握することも可能とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地盤構造推定に関しては、H29年度時点での課題とした擬似加振記録の水平成分の高度化、工学的基盤以浅の構造の高度化については、S/N比が高い新幹線を利用した擬似加振記録でも水平成分に明瞭な波動伝播の様子が得られなかったことから、上下成分に絞って検討する必要性を確認した。一方で交通振動の地震波干渉法への適用により、上下成分の擬似加振記録には分散していると思われる記録が得られた。これがレイリー波としてみなすことができれば表面波探査の知見を活用することにより上下成分のみの利用でも不陸を考慮したS波速度構造の把握が期待できる。 次年度は擬似加振記録に基づいてレイリー波の分散性を得ることに着目して検討をすすめる。 地盤構造モデル表示システムはWebシステムとしてプロトタイプが完成しており順調に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
地盤構造推定に関しては、まず擬似加振記録の表面波探査手法の適用可能性について検討し、不陸を考慮したS波速度構造推定としての高度化を目指す。また擬似加振記録を得るために必要な計測方法(主に連続観測の時間)について検討する。この際、周辺の交通振動の多い場所、少ない場所で連続計測を行い、交通量が適切な擬似加振記録を得るための連続観測時間に及ぼす影響について検討を実施する。 地盤構造モデル表示システムは完成したプロトタイプをベースに操作性、見やすさ、理解しやすさ等確認し・適宜修正を行う。
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