研究課題/領域番号 |
17K01315
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
岡 秀行 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (80399518)
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研究分担者 |
岡 泰資 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (10240764)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 天井流 / 火災熱流動 |
研究実績の概要 |
火災時に煙を伴って上昇する熱気流が天井面で向きを変え,天井面に沿って拡がる天井流は火災感知器やスプリンクラー設備の作動に影響を与えるため,火災に伴う熱流動の素過程としてこれまで広く研究されてきている。平成30年度は、トンネルや長い廊下で生じる天井流において厚みが概ね一定となる常流域に着目し,簡易理論モデルに基づく実用的な温度減衰予測式を提案した。 常流域を対象にこれまで提案されている予測式では常流域の開始位置を参照点とし,その点での温度を参照温度として半理論的な温度減衰式がいくつか提案されている。しかしながら,物理的に意味のある形で参照点及び参照温度を求める方法は示されていないため、前年度は火源上方のよどみ領域から射流域を経て、常流域の温度減衰を順次算出する形で閉じたモデルを提案した。 平成30年度はこれを更に簡略化し、火源中心軸上方の天井面近傍温度を参照温度として直接常流域の温度減衰を予測できるモデルへと改良した。また、通路断面のアスペクト比(高さ/幅)に依存せず、天井流の温度減衰性状を統一的に整理することが可能な代表長さの設定方法を提案した。本提案モデルの妥当性を評価するため、断面アスペクト比が異なる三つの模型トンネルを用いた実験と比較したところ、アスペクト比に依存せず、常流域の温度減衰を定量的に満足のいく範囲で実験結果を再現できることが分かった。また、従来の理論モデルでは火炎高さが天井高さよりも十分低い場合を想定して構築されているが、本提案モデルでは火炎が天井面に接する条件下でも常流域の温度減衰を予測できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では、浅水方程式に基礎を置く天井流の理論モデルを多次元に拡張することを目標としており、その基盤となる一方向流れの近似解析解を導出し、実験結果を良く再現する結果が得られている。研究開始年度に続いて2年目も有意義な結果が得られており、国際会議で研究成果を発表するまでに至っている。それゆえ、概ね順調に進展していると評価している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は一次元流れの近似解析解を導出し、実験結果と比較する。このような基盤となる成果を踏まえて多次元へ拡張し、ひいては天井面の梁などの障害物の影響を考慮した実用モデルへと発展させていく予定であり、計画の変更等は考えていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究成果の発表先を海外で開催される国際会議から国内で開催される国際会議に変更したため。また、購入予定の計算機を次年度に変更したため。
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