研究課題/領域番号 |
17K01317
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研究機関 | 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所 |
研究代表者 |
高梨 成次 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 建設安全研究グループ, 部長代理 (60358421)
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研究分担者 |
大幢 勝利 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 研究推進・国際センター, センター長 (50358420)
高橋 弘樹 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 建設安全研究グループ, 上席研究員 (90342617)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 積載荷重 / 残余水平耐力 / 余震 / 倒壊 |
研究実績の概要 |
同一構造の木造家屋試験体を5体作成した。その内2体は仕上げを施さず、3体は外壁にモルタル仕上げ、内壁に漆喰仕上げを施した。これらの試験体は旧基準によって設計された木造家屋を模擬したものである。それらの試験体を用いた実験により、余震に対する安全性の調査を行った。本課題では、屋根や床などの重量に焦点を当てた研究であるため、試験体に積載する錘を実験パラメータとした。試験機の不調等により実験の実施が若干遅れているものの、仕上げ無し試験体による実験によって有意義な資料を得ることができた。本試験では、1体の試験体には錘の積載を省略した実験を実施した。この試験法は構造耐力を調べるための実験法として現在の標準的な試験方法である。これに対して、もう1体の試験体には約5トンの錘を積載した。また、加力は正負漸増繰り返し静的加力とした。加力スケジュールに関しては、現在主流とされているものに従った。 本課題では、最大強度を発揮した後の残余水平耐力に及ぼす積載荷重の影響を調べることを主目的としていたが、錘の積載の違いにより破壊モードが大きく影響を受けることが分かった。錘を積載しなかった試験体では柱の引き抜けが発生し、筋かい等のせん断耐力要素の部材が有効に機能せずに、最大強度が低くなった。これに対し、錘を積載した試験体では、筋かい等のせん断耐力要素の部材た有効に作用し、最終的には筋かいが座屈するなどの現象を確認することができた。これに伴い、充分な最大強度を発揮した。また、錘を積載しなかった試験体では最大強度発揮後においても一定以上の残余水平耐力を発揮していたのに対して、錘を積載した試験体では最大強度発揮後の残余水平耐力の低下が著しく、倒壊する危険性が高くなることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験で使用する予定であった試験機の不調により、実験の開始が遅れてしまった。しかしながら、実験が出来なかった期間を予備解析等の検討に充当することが出来たので、残された試験体に関しては、特別な検討を行わずに実験を実施するだけとなっているので、充分に遅れを取り戻すことが出来ると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
残された3体の内の2体を正負漸増繰り返し静的加力を行い、1体を用いて仮動的実験を実施する。 さらに、現行基準で設計された、現在最も一般的な構造形式の木造家屋試験体を作成し、それらの試験体を用いた同様の検討を行う。そのことによって、大地震後の余震に対する木造家屋の耐震安全性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験で使用する予定であった試験機が不調であったため、実験の実施が遅れてしまいました。それに伴い、試験体の発注が滞ってしまったために助成金の一部を活用することが出来ませんでした。しかし、平成30年度に次年度使用額として記されている524、000円を有効に活用させていただきたく考えております。
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