• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

実践的研究に基づく空振り率低減を主眼とした土砂災害警戒基準の提案

研究課題

研究課題/領域番号 17K01335
研究機関金沢大学

研究代表者

高原 利幸  金沢大学, 地球社会基盤学系, 助教 (20324098)

研究分担者 上野 勝利  徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (70232767)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード並列タンクモデル / 土壌雨量指数 / 土砂災害警戒情報 / クリティカルライン / ニューラルネットワーク
研究実績の概要

全体としては当初の予定よりはやや先行しており,斜面内地下水位測定データに基づく並列タンクモデルの構築及びRBFNによるCL決定法の確立までをH29年度中に行った.H30年度は繰り越された,5万分の1地質図のデジタイズ作業を完了し,石川県全体の土砂災害時の降雨パターン分類の一部を実行したが,残りの調査はH31年度に繰り越されている.
斜面内地下水位の測定においては,既存の3箇所に加え,H30年度前半に新たに金沢市鈴見地区での計測を予定通り開始した.当該箇所は,融雪期の災害発生事例として並列タンクモデルの適用性を検討するための計測であるが,H30からH31年の冬季は積雪量が少なく,融雪による影響を十分評価するに至らなかったものの,他の測定結果も含め,取得データから並列タンクモデルのパラメータを修正し,より予測精度の高いモデルの構築をすることができた.
一方で,CL(クリティカルライン)を作成する際に必要となるニューラルネットワーク手法のパラメータ決定法の開発はH29年度に行っていたため,現在の土壌雨量指数に代えて,上記の並列タンクモデルに適用し,被災履歴による精度検証を実施中である.現在進めている被災箇所の一部での検証で,空振り率が思ったほど低下しない場合もあることが分かり,タンクモデルの再検証を行う予定である.
徳島大学担当の測定装置の改良は,埋設部に電子基板を挿入しないシステムの開発にほぼ成功し,長期間運用に対する書き込みソフトの安定性の確認と無線送信システムの改良を行い,室内での試験計測が行われた.さらに,1孔で多層の地下水面の決定をできるシステムの開発が進んでいる.期間内で可能なかぎり計測システムの移行を図り,安定的な測定を目指す予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画と比較して遅れていた5万分の1地質図のデジタイズがH30年度に完了し,土砂災害発生時の降雨パターンの地質毎の区分を進めているところであり,遅れを取り戻しつつある.
現地計測に関しては予定通りの進捗で,計測機器の開発も進み,測定及びその結果を利用した地下水位モデルの開発は予定通り進んでいいる.
新しい警戒情報を策定するための手法は,最終年度までに開発する予定であったが,初年度でほぼその方法論を確立することができており,今後取得されるデータをもとに修正をかけながら,H30年度に県内全体での新しい警戒基準を作成に着手しており,最終のH31年度では,空振り率の改善のための,モデルの一部修正と適用性の検証を予定通り実施できる状態にあり,全体としては計画どおりに進んでいる.

今後の研究の推進方策

融雪の影響を捉えるために新たに鈴見地区斜面での地下水位計測を実施しているが,H30年度の冬期積雪量が少く,十分な情報が得られていないため,5万分の1表層地質図の地質から県内を4パターンに分類したあらたな区分分けは今年度終盤にずれ込むことになる.
しかし,各1kmメッシュ毎に,現在の土壌雨量指数に代えて,並列タンクモデルを横軸としたCLの作成には既に着手しており,これまでのデータから,過去の災害の捕捉率,空振り率を検証し,その適用性について検証するとともに,モデルの修正による精度向上を進める予定である.また新たに土砂災害が発生した場合にはその検証も含めていく予定である.

次年度使用額が生じた理由

初年度に研究分担者において,マイコン周辺の独自設計基盤の作成に向けた部品調達資金を次年度に繰り越した.しかし,融雪期の土砂災害発生の地下水モデルを作成する際に,計測箇所においていくつかの帯水層が確認されたため,複数の地下水位を測定できるシステムの開発を優先させた.このために,支援資金の使用計画を見直さざるをえず,昨年度は当初計画に近い部分のみの使用にとどめ,最終年に繰り越して利用することとしたため.

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Bearing Capacity of Shallow Foundation on Sand using Flexble Sleeve2018

    • 著者名/発表者名
      Katsutoshi Ueno, Hercio Novela and Yuki Takatsuji
    • 雑誌名

      地盤と防災・環境に関するシンポジウム

      巻: Vol. 13 ページ: 46,51

  • [学会発表] A Study on Criterion of Slope Failure Considering Geology and Rainfall Pattern2018

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki TAKAHARA
    • 学会等名
      Geoscience-2018
    • 国際学会
  • [学会発表] 並列タンクモデルを用いた土砂災害警戒情報発表基準の適用性に関する研究2018

    • 著者名/発表者名
      高原利幸,近藤健太,上野勝利
    • 学会等名
      第 53 回地盤工学研究発表会
  • [学会発表] 土砂災害警戒情報における CL 作成時の RBFN パラメータ決定法に関する研究2018

    • 著者名/発表者名
      近藤健太,高原利幸,上野勝利
    • 学会等名
      第 53 回地盤工学研究発表会
  • [学会発表] 遠心模型実験のための人工粘土材料の特性2018

    • 著者名/発表者名
      来島 尚樹, 上野 勝利, 肥前 大樹
    • 学会等名
      第53回地盤工学研究発表会
  • [学会発表] 透水性基礎地盤を有する河川堤防の実大模型実験に対する内部侵食を考慮した数値解析2018

    • 著者名/発表者名
      柳 振錫, 上野 勝利, 渦岡 良介
    • 学会等名
      第53回地盤工学研究発表会
  • [学会発表] 統合物理探査による高水前後の河川堤防の調査の有用性に関する研究2018

    • 著者名/発表者名
      高原利幸,村田芳信
    • 学会等名
      土木学会第 73 回年次学術講演会
  • [学会発表] 静電容量型センサを用いた沈下量計測方法の開発2018

    • 著者名/発表者名
      林 あかね, 上野 勝利
    • 学会等名
      平成30年度土木学会四国支部第19回技術研究発表会
  • [学会発表] 閉回路レーダー法による地下水面の多層検出について2018

    • 著者名/発表者名
      上野 勝利, 内田 純二, 西川 祐平, 林田 昇, 佐々木 諒, 的場 智久
    • 学会等名
      第53回地盤工学研究発表会
  • [学会発表] 静電容量型水位計による地盤内空洞の水位変化計測とSWSの結果について2018

    • 著者名/発表者名
      林あかね、中村謙太、上野勝利
    • 学会等名
      地盤工学会四国支部平成30年度技術研究発表会

URL: 

公開日: 2019-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi