研究実績の概要 |
今年度は,まず適切なシラン処理方法の選定を行った.数種類の試薬を用い,豊浦砂を用いて,処理後に試料が疎水性を有するかどうかを確認した.その結果,試薬の価格ならび疎水性発揮の確実性を考慮して,試薬と処理方法を選定した.次に,その処理方法を用いて,試料として豊浦砂, DLクレー,まさ土を用いてシラン処理を行い,疎水性処理を行った場合の基礎的な疎水特性(接触角,水滴侵入時間)について検討を行った.すべての試料において,わずかな試薬濃度により処理を行うことで,接触角の増加ならびに水滴侵入時間の増加が確認された.また,測定された接触角と水滴侵入時間の間には,線形な関係があることが分かった.さらに,シラン処理土を自然斜面の被覆層として用いる場合には,自然暴露した状態で,処理層の疎水性が保持されることが必要である。このため,シラン処理をした豊浦砂を屋外にて約1か月の間暴露し,その間,1週間ごとに基礎的な疎水特性(接触角,水滴侵入時間)について測定を行った.その結果,接触角,水滴侵入時間ともに,ほぼ保持されていることが確認された.なお,この時得られた,接触角と水滴侵入時間の関係は,自然暴露しない試料について得られた関係とほぼ対応しており,自然暴露が,疎水特性に影響しないことが確認された.また,次年度の模型土槽実験の準備のため,模型土槽ならびに降雨装置を試作して,その性能を確認した.この時,シラン処理した豊浦砂を用いたキャピラリーバリヤ層を用いて実験を行った.降雨の侵入はかなり抑えられることが確認されたが,土槽境界での浸透水の排出が,現状の装置では不十分であるため,今後改良することが必要であることが確認された.また,連続加圧型の保水性試験装置については,製作は完了しており,現在,基本的な性能確認を行っている.
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