環境情報をセンサ・IoT技術により測定・収集して、クラウドサーバー上で時系列データ予測と警告を行うシステムをハードウェアおよびソフトウェア両面から研究・開発を行うのが本研究の目的である。初年度は、主にハードウェアの開発と実証実験を行い国内外に設置した装置から日本国内のクラウドサーバーにデータアップロードして可視化を行った。2年目はそれらのデータをPython言語によるデータ解析や、機械学習アルゴリズムにより予測・警告するシステムの構築と精度検証を行った。3年目は、時系列データである環境計測データの中で、季節変動を考慮して過去の時系列データからの予測を目的としてリカレントニューラルネットワークの一つであるLongShort Term Memory(LSTM)を用いて機械学習を行った。予測と警告のアルゴリズムに関して、時系列データの状態空間モデルなどを基本に機械学習のパラメータ更新と連動させて警告、短期予測、長期予測の運用実験を行い防災・減災の一助を果たす枠組みを構築できた。社会実装としては、太陽電池駆動のIoT式PM2.5・NO2・温湿度測定器を開発して、東アフリカ・ウガンダにウガンダ環境省の協力の元に設置を行い、得られた半年分のデータから適切なデータを特徴パラメータとして加えた多変数回帰予測に取り組み予測精度の向上を行った。さらに、市役所農政課の協力を得て、イノシシ捕獲罠に振動センサを取り付け、時系列データおよび画像データをクラウドで監視して異常値を判定してイノシシの捕獲状態を自動で判定してメールやSNSで警告するシステムを開発した。この異常値検知システムは他に農業、防災などにおける警告システムとしてIoT技術の新展開として有用である。この2つの社会実装により低価格で運用可能な第一次産業や途上国向けのクラウドシステム構築に目処を付ける事ができた。
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