研究課題/領域番号 |
17K01342
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
松澤 智史 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 助教 (20385529)
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研究分担者 |
滝本 宗宏 東京理科大学, 理工学部情報科学科, 教授 (00318205)
神林 靖 日本工業大学, 工学部, 准教授 (40269527)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | multi agent / mobile agent / ad hoc network / CDN / simulation |
研究実績の概要 |
2017年度は主に避難誘導時に被災者の携帯端末間を移動してサービスを提供するモバイルエージェントの研究と、携帯端末間をつなぐネットワーク構築の研究を行った。 モバイルエージェントは避難誘導特化の仕様を用いたマルチエージェントを用い,現存する実マップを元に、避難者のシミュレーションなどを行うシステムを開発した。 また端末間ネットワーク構築においては、CDN (Contents Delivery Network) を元にしたアドホックネットワーク構築の仕組みを検討し、従来のCDNにおけるキャッシュ手法をアドホックネットワーク向けに変更したことにより、情報伝達率がある程度高くなる結果を得られた。 また理論上は情報伝達率が向上すると考えている「モバイルアドホックネットワークの端末距離を考慮したキャッシュアルゴリズム」の実験が実装上の理由で行えておらず、次年度への課題として残されている。 これとは別にドローンを用いた空中でアドホックネットワークを構築し、インフラの一時的な代替ネットワークを構築する研究を開始した。現在のドローンはまだ稼働時間(バッテリー)が短く、実運用するためには省電力化の工夫などが必要であるが、将来的な被災支援のネットワークとして活躍できる見込みがあり、草案はすでにシミュレーションでの結果を学会発表済みであるが、今年度中に自律アルゴリズムを洗練させた実験結果を元にした定量的評価を行った成果発表を考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
被災者同士が通信できる環境を前提としたシミュレーション実験はおおむね良好な結果を得ているが、インフラが破綻した被災地におけるネットワーク構築の研究が当初の予定より遅れている。 被災者の端末間をつなぐ形で実現するアドホックネットワークを前提としているが、情報の欠落の多さ(伝達率の低さ)はもう少し改善できないとシミュレーション実験のような結果を実環境で得ることは難しいと考えている。
別のアプローチとしてドローンを用いた空中間での臨時インフラ構築の研究を開始した。 ドローンのバッテリー問題がある程度解決できれば、情報伝達率の高い臨時アドホックネットワークの構築が期待できるが、ドローンを自律的に動作させるためにドローンに実装するアルゴリズムをシミュレーション実験により試行錯誤しており、非難支援のモバイルエージェントのシステムがシミュレーション通りに安定動作する環境の実現を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
被災地におけるアドホックネットワーク構築の研究のスピードをあげる予定である。 被災者の携帯端末をつなぐアドホックネットワーク構築と、ドローンによる空中でのインフラの代替ネットワークの両方の観点から実験評価を行い、避難誘導への適正を見極めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
投稿した国際会議の論文がリジェクトされたため,それにかかる費用が持ち越しとなった。 今年度中に再度投稿する予定である
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