研究課題/領域番号 |
17K01352
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
馮 忠剛 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (10332545)
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研究分担者 |
中村 孝夫 山形大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00142654)
小沢田 正 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (10143083)
梅津 光生 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (90132927)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 心筋細胞分化 / サッブタイプ心筋細胞 / ヒトiPS細胞 / 心室細胞外基質 / ハイドロゲル / 動的応力 / 電気刺激 |
研究実績の概要 |
平成30年度の研究では研究計画に従って実施し、以下の実績を得た。 1.vECMgel基質特性の調整と改善:作成したvECMゲルの力学特性を向上させるためにEDACによって架橋処理を施した。ピクロシリウスレッド染色によって、コラーゲン線維のネットワーク構造の確認および細胞培養適合性を評価した。実験方法の改善によってより信憑性の高いデータを得た。 2.vECMgel基質上でのヒトiPS 細胞のサブタイプ心筋細胞分化の最適化検討:前年度まで分化誘導15日目からvECMgel基質上で播種し、サブタイプ心筋細胞分化に及ぼす影響を検討したが、今年度はより早い7日目に播種して実験を行た。その結果、vECMgel上早期の方が拍動の頻度が高くなって、免疫蛍光染色画像からMatrigel 上と比べて細胞が密集している箇所に心室筋細胞がより発現された。Real Time PCRの結果からも心室筋細胞、洞房結節細胞に関しては早期再播種のほうが分化を促進できる可能性が考えられた。 3.vECMgel+グラフェンペーパー電極基質上での組織構築中間モジュールの構築:新たに開発した動的応力-電気刺激印加バイオリアクタを用いて、組織構築中間モジュールの培養を行った。中間モジュールにはvECMgel、培養細胞および柔軟電極から構成され、動的応力-電気刺激印加下で培養・観察した。培養細胞は刺激下で配向・組織化傾向が現れ、さらに電気刺激により細胞選択の可能性も示唆された。 以上で研究結果はvECMgel+nGraphene培養基質による心臓・血管系の多種細胞の系統的な同時分化誘導および組織発生の基盤技術を開発できたことを示し、再生組織構築についての新たな方法論である中間モジュール法の将来性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従って実施し、以下の実績を得て、研究目標は概ねに達成した。 1.vECMgel基質上でのヒトiPS 細胞のサブタイプ心筋細胞分化の最適化検討では より早い分化誘導7日目に播種して、vECMgel上拍動の頻度が高くなって、免疫蛍光染色画像からMatrigel 上と比べて細胞が密集している箇所に心室筋細胞がより発現された。また、Real Time PCRの結果からも心室筋細胞、洞房結節細胞に関しては早期再播種のほうが分化を促進できる可能性が考えられた。 2.vECMgel+グラフェンペーパー電極基質上での組織構築中間モジュールの構築では 動的応力-電気刺激印加バイオリアクタを用いて、中間モジュールにはvECMgel、培養細胞および柔軟電極から構成され、動的応力-電気刺激印加下で培養・観察した。培養細胞は刺激下で配向・組織化傾向が現れ、さらに電気刺激により電極近傍での細胞選択の可能性も示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
1.柔軟性ナノグラフェンペーパー電極の特性改良 これまで作成したナノグラフェンペーパー電極は変形柔軟性が劣り、vECMgelの変形性と適合できないものである。そこで、導電性ポリマの混合と作成過程の最適化を検討し、より導電性と柔軟性が優れた電極を作成し、これによって中間モジュールを統合して組織構築培養を行う。 2.中間モジュール積層の技法による階層的な心室筋再生組織の創出と機能評価 心筋・血管系細胞の相互作用と自己組織化能の利用に適した応力・電気刺激の印加により血管構造の発生を有する微小心室筋組織を基質上に生成させる。中間モジュールの層間に局所流れを培養液灌流バイオリアクタによる作り出し、層間癒合と血管床の連結・生成のための培養液組成を検討する。機能評価に当たって、心筋代謝機能、血管網形態および拍動力特性の評価を予定している。
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