研究課題/領域番号 |
17K01356
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
仲 成幸 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (10359771)
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研究分担者 |
谷 眞至 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60236677)
貝田 佐知子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70710234)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高分子ナノミセル / MRI / 蛍光 / デュアルイメージング |
研究実績の概要 |
平成29年度はMR 造影剤(Gd)および蛍光色素(fluorescent dye: FD)を内包した高分子ナノミセル(Gd/FD ナノミセル)の開発・作製を行い、MRIによるT1緩和能の測定等の基礎的評価を行った。その後、ラットにおける特性評価、ラット担癌モデルにおける機能評価を行った。この結果、MR画像 及び蛍光による観察が可能であることが確認された。 【1. Gd/FD ナノミセルの設計・作製】 ①Gd/FD ナノミセルの設計・作製:親水性ポリマーとしてポリエチレングリコール(PEG)を用い、疎水性コアとしてのPBLA(ポリβ-ベンジル-L-アスパルテート)に蛍光色素(IR820)を反応させ、さらにMRI陽性造影剤であるガドテル酸メグルミン(Gd-DOTA)を加え、高分子ナノミセル(PEG-PAsp-IR820-DOTA-Gd)を作製した。②蛍光色素(IR820)を含まない高分子ナノミセル(PEG-PAsp -DOTA-Gd)を比較用として作製した。③高分子ナノミセル(PEG-PAsp-IR820-DOTA-Gd)のT1緩和能はガドテル酸メグルミン(Gd-DOTA)に比べ約8倍であるることが分かった。 【2.ラットにおけるin vivo評価】 ①ラット尾静脈よりGd濃度として0.5nmol/kg、0.125nmol/kgの高分子ナノミセル(PEG-PAsp-IR820-DOTA-Gd)をを投与し、MRIによる撮影を行った。ラットは造影剤注入後MRI撮影中に死亡したが、血管内および腹部臓器の造影効果を認めた。開腹後に近赤外光を用いて腹腔内を観察すると肝臓、小腸等に蛍光発光を認めた。②同所性ラット肝癌モデルに対し高分子ナノミセル(PEG-PAsp -DOTA-Gd)を尾静脈より注入しMRIによる撮影を行った。ラット肝臓が造影され肝癌の描出が可能であった。ラットは1週間以上生存した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【1. Gd/FD ナノミセルの設計・作製】 蛍光色素(IR820)とMRI陽性造影剤であるガドテル酸メグルミン(Gd-DOTA)を含有する高分子ナノミセル(PEG-PAsp-IR820-DOTA-Gd)および蛍光色素(IR820)を含まない高分子ナノミセル(PEG-PAsp -DOTA-Gd)を作製した。MRI装置による測定結果により、高分子ナノミセルによりT1緩和能が増強されることが確認された。概ね順調に進んでいる。 【2.ラットにおけるin vivo評価】 ラットに投与したところMRI陽性造影剤としての機能と蛍光発光の機能を有し、MR画像および蛍光画像による観察が可能であった。蛍光色素(IR820)を含まない高分子ナノミセル(PEG-PAsp -DOTA-Gd)ではラットは死亡せず、MR・蛍光デュアルイメージング用高分子ナノミセル(PEG-PAsp-IR820-DOTA-Gd)の投与ではラットが死亡した。以上より、蛍光色素の毒性が考えられた。蛍光色素としての投与量を検討する必要がある。平成30年度に改良を予定する。
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今後の研究の推進方策 |
1. Gd/FD ナノミセルの改良について:平成29年度に作成した高分子ナノミセル(PEG-PAsp-IR820-DOTA-Gd)における蛍光色素とガドリニウムの含有比率を検討し、ラットにおいてMRI陽性造影剤としての機能および蛍光発光の機能を測定し最適化する。同時に安全性試験を行う。 2.ラット担癌モデルの作製:高分子ナノミセルのin vivo評価の為に①同所性肝癌モデル②リンパ節転移モデル③腹膜播種モデル④肝転移モデルを作製する。 3.ラット担癌モデルにおけるGd/FD ナノミセルの有効性の評価:前述のラット担癌モデルにおいて下Gd/FD ナノミセルの有効性を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラット担癌モデルにおける画像評価を施行しなかったため、画像解析用ソフトウェアを平成29年度に購入しなかった。平成30年度に画像評価を行うため購入予定である。また、国際磁気共鳴医学会に参加しなかった。平成30年度はWinstar-King ラット、ヌードラットの使用を申請時より多く使用する予定としており、申請時より購入費用が増加する予定である。
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