研究課題/領域番号 |
17K01357
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
熊本 悦子 神戸大学, 情報基盤センター, 教授 (00221383)
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研究分担者 |
黒田 輝 東海大学, 情報理工学部, 教授 (70205243)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 加温特性解析 / 磁気共鳴診断装置 / 集束超音波治療 / 電磁界解析 / 磁気共鳴温度分布画像化法 / MRガイド下集束超音波治療 |
研究実績の概要 |
今年度は,主に以下の研究を行なった. 呼吸動による変位・変形を伴う肝臓を対象とした集束超音波治療における加温特性を解析するため,肝臓の動体解析手法を進展させた.術前に撮像した矢状断面MR像から時系列3次元モデルを作成,そのモデルに対して周囲の血管影と焦点の相対位置関係は変化しないという過程に基づき,焦点位置をあらかじめ推定しておく.術中は術前と同様の撮像条件により単スライス矢状面像を取得し,術前の画像とマッチングを行い,マッチした画像との関連性により焦点位置を推定する.この手法を,3名の健常ボランティアのゆっくりとした呼吸下の肝MR画像に適用したところ,術前の焦点位置推定について約80%において誤差5mm以下となった.また,術中のマッチングについてはほぼ全ての入力画像について,肝臓の位置を正しく捉えることができた.これにより,呼吸動にともなう肝臓移動変形に焦点を追従する焦点追尾手法の動的な評価が可能となった. また,これまで単純なファントムや標準的な数値人体モデルを用いて行われていたRF誘電加温のシミュレーションを個々の患者のCT画像からモデルされた解剖学構造に基づいた加温特性解析を行なった.患者下腹部のCT画像を脂肪,骨,前立腺,およびそれ以外の高含水組織に分類し,組織の電磁気的・熱的特性はオープンデータベースより,血液灌流による熱輸送の温度依存性は文献に基づいてモデル化した.対向電極を下腹部の背腹に配置し,電磁界解析ソフトウェアにより解析した.前立腺におけるシミュレーションによる加温到達温度は38.0℃であり,実測値40.8℃に近い温度まで加温された.これにより,CTデータに基づく個々の患者に対する治療シミュレーションが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は,呼吸動にともなう肝臓の焦点追尾のための動体解析およびCTデータに基づくRF誘電加温シミュレーションを行い,水と脂肪を含んだ組織のモデル化に着手した.
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今後の研究の推進方策 |
計算機シミュレーションによる特性解析は,シミュレーション実行時間が長時間となるため,対象を絞り,綿密な計画を立てて効率よく実施していく必要があ る.今後は,モデルの適切な対象を選択し,体組成に応じた治療効果と安全性の評価を進めていきたい.
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