研究課題/領域番号 |
17K01359
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
貝原 恵子 岡山大学, 医学部, 技術専門職員 (60638641)
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研究分担者 |
入部 玄太郎 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (90284885)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | NOX4 / 活性酸素( ROS ) / メカノトランスダクション / 単離心筋細胞 |
研究実績の概要 |
心臓は収縮弛緩を繰り返しているため、常にメカノストレス下にある。我々は心筋細胞でのメカノトランスダクションにおいてはNOX4由来の活性酸素( ROS:Reactive oxygen species )が大きく関わっているとの仮説のもとに、本研究では、独自の単離心筋細胞伸展システムを用いてNOX4が生理的および心不全形成に関わる病態生理的メカノトランスダクションに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 1.NOX4KOマウス系統維持及び心不全モデルマウスの作成 心筋細胞がどのように力学刺激を受け入れているかを解明するためには、成熟した心筋細胞が必要であり、毎回急性単離を行わなければならない。そこで、NOX4KOマウスをジャクソン社より購入し系統維持にて必要数を準備した。また、圧負荷による心不全モデルマウスは、TAC手術により作成し心エコーによって心機能の評価を行ってデーターを蓄積中である。 2.NOX4KOマウスを用いたNOX4の生理的機能評価 NOX4KOマウス由来の単離心筋細胞にて伸展時のROS産生量やCa2+スパーク量の測定を行った。NOX4KOマウス由来の単離心筋細胞では、コントロールで見られる伸展時のROS産生が見られなかったが、Ca2+スパーク量は、通常と同様に増加している。これまでに明らかにっている伸展時のNOX2由来ROS産生時のメカニズムとは異なった経路が関与している可能性が考えられる。また、単離心筋細胞でのNOX4の収縮力の指標として、負荷依存性のない最大弾性率を長さ・張力関係より求めるとNOX4欠損時には、コントロールと比較し明らかな張力低下が見られた。これらの結果より、NOX4由来の活性酸素がメカノトランスダクションに関与している可能性が高いと示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、NOX4KOマウスを購入し研究に必要な動物個体を維持しつつ、NOX4KOマウス由来単離心筋細胞を用いて伸展時のROSの産生量の失活や発生張力の低下など、NOX4の生理学的評価が明らかになってきていることから、申請時における実験計画書内容の予定通りの研究成果が得られている。また、圧負荷モデル作成おいては、手技習得と術後の経過時間が必要な為、初年度から研究を着手した。以上の点を考慮しおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ミトコンドリアにおける伸展刺激時の病態生理を明らかにすることを目的とし、病態モデル由来のリモデリング単離心筋細胞を用いてミトコンドリアの膜電位を測定する予定である。また、圧負荷によるNOX4発現量変化に伴う心機能の変化を心エコー・ROS生産量・RT-PCR・Ca2+スパーク数変化・発生張力を測定し、NOX4と病態との関連性を解明していく。今後も引き続き、当初の計画に従ってデーターを蓄積していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ノックアクトマウスを購入し、マウス維持管理に経費が必要となった。平成30年3月に使用したマウスの維持管理費は、平成30年4月に請求が来るため平成29年度分支払いが平成30年となる。そこで、マウス管理維持に必要な経費を繰越し平成30年度分として計上した。
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