研究課題/領域番号 |
17K01360
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
岡 久雄 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (80116441)
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研究分担者 |
渡辺 彰吾 岡山大学, 保健学研究科, 講師 (20548341)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 筋音図 / 筋電図 / MMG / EMG / 筋収縮 / 変位筋音図 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,スポーツ科学や臨床医学で広く用いられる筋電位信号(EMG)に加え,筋自身の収縮特性を反映する筋音信号(MMG)を同時に測定するため,①日常動作中でも実使用が可能なMMG/EMGハイブリッドセンサシステムを開発し,②筋疾患,筋疲労やトレーニング評価等のフィールド使用での問題点の抽出と改善を行って,③新たに提案する筋収縮パフォーマンス指標(MMG/EMG比)の有効性を確立し,④臨床診断,リハビリテーション,スポーツ科学分野等,国内外へ広く普及させることである。 平成29年度は,日常動作中でも実使用が可能であり,安価で使い勝手の良いMMG/EMGハイブリッドセンサシステムを開発するために,既開発の第2世代「ワイヤレス型ハイブリッドセンサ」を改良し,(1)EMG計測にディスポ電極を使用して使い勝手を良くし,また変位MMGおよびEMG信号の最適増幅とS/Nを向上させて,MMG/EMGハイブリッドセンサをブラッシュアップしたセパレート型センサを試作した。また,(2)Bluetoothによる無線化を実現し,信号を受信する側のタブレットまたはパソコンに搭載する計測ソフトウェアを開発し,実使用に耐え得るセンサシステムを開発した。さらに,平成29年度後半からは,開発したシステムを用いて,筋疾患,筋疲労やトレーニング評価等,実際のフィールドでの使用を想定した場合の問題点を抽出し,病院や企業の研究協力者と共にその改善を図っている(平成30年度も継続)。一方,ラボレベルでの等尺性収縮や等張性収縮実験を行い,計測画面の様子,操作性なども含めて改善を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は,【Ⅰ.ハイブリッドセンサシステムの開発】において,日常動作中でも実使用が可能であり,安価で使い勝手の良いMMG/EMGハイブリッドセンサシステムを開発するために,(1)EMG計測にディスポ電極(日本光電F150Sビトロード)を使用して使い勝手を良くし,また変位MMGおよびEMG信号の最適増幅とS/Nを向上させて,MMG/EMGハイブリッドセンサをブラッシュアップした。他方,センサの貼付け位置の自由度を増すため,MMGセンサおよびEMG電極と,インターフェース部を分離したセパレート型ハイブリッドセンサについても検討を加えた。(2)Bluetoothによる無線化を実現し,信号を受信する側のタブレットまたはパソコン(Windows版。Android版については引き続き検討中)に搭載する計測ソフトウェアを開発した。さらに,平成29年度後半には,【Ⅱ.実使用での問題点の抽出と改善】において,開発したMMG/EMGハイブリッドセンサシステムを用いて,ラボレベルでは等尺性収縮や等張性収縮実験を行い,計測画面の様子,操作性なども含めて改善点を検討した。さらに研究協力を得ている病院や企業と共に,実際のフィールドで使用した場合の問題点などを抽出し,その改善策を練っている(平成30年度前半も継続)。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は,平成29年度後半から行っている「実使用での問題点の抽出と改善」を明らかにする(平成30年度前半まで)。ラボレベルでの等尺性収縮や等張性収縮実験を行い,タブレットやパソコンでの計測画面の様子,操作性なども含めて改善を行って,MMG/EMGハイブリッドセンサシステムの開発を完了する。さらに,【新たなパフォーマンス指標の提案】として,立ち漕ぎ式のウォーキングバイシクルを用いて,「パフォーマンス指標」の実用化に向けて,その有効性を確立する。ウォーキングバイシクルは立ち漕ぎ式運動ではあるが,ほぼ大腿四頭筋の等尺性収縮に近く,パフォーマンス指標の解析・検証には最適な運動形態と考えられる。その後は【医療・介護・スポーツ分野へ広く適用】するために,開発したMMG/EMGハイブリッドセンサシステムと筋収縮パフォーマンス指標を,臨床診断,リハビリテーション,スポーツ科学等の分野で適用しつつ,本センサシステムを国内外に向けて広く普及させる。すなわち,足こぎ車椅子リハビリ訓練時において,今回開発するMMG/EMGハイブリッドセンサシステムを用いて筋音・筋電図を測定し,筋収縮パフォーマンス指標を用いてリハビリ訓練の効果について臨床評価を行う。また,臨床診断やスポーツ科学分野にも適用し,さらに国際会議等を通して,国内外に向けて広く普及させる計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度に,Bluetoothによる無線化を実現し,信号を受信する側のタブレットおよびパソコンに搭載する計測ソフトウェアを完成させる予定であったが,Windows版は完成したものの,Android版については引き続き検討中であるため,本計測ソフトウェアを動作させるAndroid版タブレットの購入はH30年度に行うこととした。また,実際のフィールドで使用した場合の問題点などを抽出し,その改善策を練るために,研究協力を得ている病院への複数回の出張を予定していたが,先方の都合により,年度をまたぐことになったため,H29年度の使用額を留保し,次年度に使用することにした。
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備考 |
岡山ヘルスケア産業連携協議会平成29年度モデル事業「筋(近)未来サポートシステム ~Measee(メーシー)~構築・実証事業」(代表者:㈱エヌ・シー・ビー(フィットネスクラブ・介護予防教室))において,「筋電・筋音データを活用した運動プログラムの評価システムの構築と実証」を行うため,本センサが採用された。
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