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2017 年度 実施状況報告書

最先端スピン共鳴画像技術と新規化学放射線療法に基づくがん個別化医療のモデル研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K01363
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

高草木 洋一  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主任研究員(任常) (60439916)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード電子スピン共鳴 / 酸素 / 低酸素標的薬 / 動的核偏極 / ピルビン酸 / イメージング / 放射線治療 / 個別化医療
研究実績の概要

本研究では、生体透過性に優れる 2 大スピン共鳴を応用した画像技術を利用し、いくつかのモデルマウス担癌を対象としてその酸素分布や代謝特性を解析する。画像データをもとに、治療前効果予測と、これに基づく治療法の選択、および治療評価を試みることにより、両イメージング技術の個別化医療への応用性を検証する。
電子スピン共鳴 (EPR) 酸素イメージングは、マウスへ尾静注した酸素捕捉プローブ (OX063) の EPR シグナルを三次元的に取得し、がん組織内の酸素濃度に応じて変化するピーク半値幅の計測から、組織深部の酸素分布を非侵襲的に描出することを可能とする。さらに、得られた酸素分布画像とがん形態画像 (MRI) を重ね合わせて ROI を設定することにより、腫瘍内の酸素分圧および低酸素領域の割合を定量的に解析することが可能である。
動的核偏極-MR 代謝イメージングは、米国にて臨床試験が開始されている最先端の技術である。最大の弱点である NMR/MRI の感度を数万倍に向上させることにより、腫瘍内での磁気共鳴分子プローブ (e.g. [1-13C]ピルビン酸) の代謝反応を動的可視化し、組織を傷つけることなく悪性度や悪性化部位の診断、治療効果の経日追跡を可能としている。
これらの画像解析により、治療開始に先立って担癌の生理学的特性を描出し、それぞれの担癌に最適な治療法を選択する。治療法としては、新規低酸素標的プロドラッグと、高酸素腫瘍に効果的な治療用エックス線および放射線増感剤を用い、画像データを基にして適切な治療法を選択し、実際に治療を施してその効果を判定する。本年度は、EPR 酸素イメージングを中心に、いくつかのがん細胞から担癌モデルを作成し、生育や撮像条件等を検討した。また、治療実験の諸条件についても検討し、画像データと治療効果との相関性を、病理診断と並行して調べた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

電子スピン共鳴酸素イメージングを応用し、扁平上皮癌や結腸がん、肺がん、膵臓がんのマウスモデル担癌より酸素分圧や低酸素領域の形成度、生理学的特性の描出に成功している。また、低酸素標的薬 (Evofosfamide; TH-302) や、治療用エックス線照射との併用による担癌の生育遅延効果について予備検討を実施し、良好な結果を得た。さらに、生育や治療前後によって変化する生理学的特性を病理診断により解析し、画像解析の結果と相関する良いデータを得ている。

今後の研究の推進方策

引き続き、酸素濃度イメージングによりモデル担癌の生理学的特性を描出し、治療効果との相関を検討する。また、動的核偏極-MR 代謝イメージングによる撮像についても各種検討を開始し、撮像後データの解析や生理学的評価を踏まえ、治療法の選択や治療の経日観察を実施する。また、画像実験や治療実験と併行して病理診断も進め、生理学的特性や治療による変化を多角的に評価する。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた細胞培養インキュベーターの購入が不要となり、別の備品購入や消耗品購入に使用したが、一部余りが生じたため。H30 年以降の物品費として使用予定。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)

  • [国際共同研究] Radiation Biology Branch, NCI/NIH/Threshold Pharmaceuticals(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Radiation Biology Branch, NCI/NIH/Threshold Pharmaceuticals
  • [雑誌論文] Radiotherapy Synergizes with the Hypoxia-Activated Prodrug Evofosfamide: In Vitro and In Vivo Studies2018

    • 著者名/発表者名
      Yoichi Takakusagi, Shun Kishimoto, Sarwat Naz, Shingo Matsumoto, Keita Saito, Charles P. Hart, James B. Mitchell, Murali C. Krishna
    • 雑誌名

      Antioxid Redox Signal

      巻: 28 ページ: 131-140

    • DOI

      10.1089/ars.2017.7106

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] 動的核偏極-核磁気共鳴分子プローブの創製と応用計測2017

    • 著者名/発表者名
      高草木洋一
    • 学会等名
      次世代 MRI・造影剤 キックオフ国際シンポジウム
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 超偏極-核磁気共鳴分子プローブの創製と応用計測 ~次世代画像診断技術としての実用化を目指して~2017

    • 著者名/発表者名
      高草木洋一
    • 学会等名
      第 45 回磁気共鳴医学会大会 シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] Accessories and Techniques that Maximize MRI as a Quantum Technology2017

    • 著者名/発表者名
      Yoichi Takakusagi
    • 学会等名
      A Workshop on Drawing Biological Information through Quantum Spin Systems (NCI/NIH Bldg10)
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2018-12-17   更新日: 2022-02-21  

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