研究課題
本年度は、各種画像解析及び治療実験で得られた結果を検証するため、酵素実験や細胞実験、モデルマウス担癌の免疫染色実験を実施した。低酸素標的薬の cell survival assay では、酸素濃度を低下させた条件でインキュベーションするほど、その生存曲線は左方 (低濃度側) へシフトし、低酸素条件下ほど強い殺細胞活性を示すことが示唆された。これは、より低酸素領域を形成しやすい、あるいはピルビン酸→乳酸代謝が活発なマウスの担癌ほど、強い生育遅延抑制効果が見られたことと矛盾しなかった。また、低酸素標的薬あるいは放射線増感剤と治療用エックス線との併用治療にて生育遅延抑制を示した腫瘍では、それぞれの治療単独あるいは未治療の腫瘍と比較して、治療による DNA ダメージや壊死領域の増加、低酸素領域の低下など、生育遅延効果や画像情報と相関する治療マーカーの変化が認められた。以上のことから、スピン共鳴画像解析及び治療実験で得られたデータと、各種生化学的実験との間に良い相関性が認められ、本研究で用いた画像解析技術と化学放射線療法の有用性が示唆された。
2: おおむね順調に進展している
各種画像解析及び治療実験と、それらを検証するための各種生化学実験の条件検討を一通り終了し、双方の実験結果の整合性がとれている。
装置の問題により、一部未実施となっていた画像解析実験を再開し、得られたデータを含めて研究成果をまとめる。これにより、本研究結果から支持された、スピン共鳴画像技術と新規化学放射線療法を応用したがん個別化医療の有用性を発信する。
本年度中に使用予定だった装置の導入が遅れ、一部の実験や成果発表に遅延が生じたため。
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第 61 回天然有機化合物討論会講演要旨集
巻: 09 ページ: 511-516