研究課題/領域番号 |
17K01368
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
小林 正樹 東北工業大学, 工学部, 教授 (90332981)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生体画像計測 / 化学発光 / 超音波 / 断層画像 |
研究実績の概要 |
超音波による化学発光増強効果を利用し,生体に投与した化学発光プローブの生体内分布を画像計測する技術の開発を行う。これは集束超音波を照射することにより空間選択的に化学発光を増強し,超音波焦点を走査することで光散乱媒質内での光断層画像計測を実現する手法であり,本研究ではルミノール化学発光をプローブとし生体内における活性酸素分布を非侵襲画像計測する技術の開発を目標とする。 初年度である平成29年度は,これまでに行った固定焦点型超音波トランスデューサを用いた機械式焦点走査による画像計測の原理に関する実験的検証に基づき,フェイズドアレイ素子による電子式走査に基づく計測システムの検討・開発を行った。64チャンネルフェイズドアレイ素子を用い,電子式走査のための位相遅延回路の設計・製作,およびその制御プログラムを開発した。試作したシステムに対してハイドロフォンによる音圧分布を計測し,超音波焦点の2次元形状とその走査性能について評価を行った。その結果,設計通りの焦点形状が得られていることを確認した。実際にルミノール溶液を微小カプセルに封入した計測ターゲットを光散乱媒質内に配置し,化学発光の2次元分布計測を行った。超音波伝搬(縦)方向と直交する横方向については超音波焦点サイズに相当する1mm程度の空間分解能での画像計測が可能であることを確認した。その結果を踏まえ,当初より今年度の課題として設定していた,縦方向の空間分解能を向上させるための手法として,フェイズドアレイ素子の直交配置による計測方法の検討を行った。それにより,両軸で同等の解像度による画像化が実現可能であることを実験的に確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の計画において目標とした2軸電子走査機構に基づくシステムの開発が終了し,実際に生体模擬試料を用いての画像計測実験を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画どおりに,29年度に開発した2軸電子走査用デュアルアレイ方式に基づく断層画像計測システムを用いた計測実験を行い,システム評価を通じて機構,回路,ソフトウエアの改良を行う。当初計画に第1フェーズとして位置づけた研究内容について中間評価・総括を行い,第2フェーズへの研究の移行の可否について判定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究はほぼ予定通りに進捗した。残額が発生した理由は,特注品として製作した物品の設計製作費が抑えられたためである。
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