ヒトHLA-A*0201を導入した重度複合免疫不全マウスNOD-Prkdcscid-IL2Rγnull (NSG) - HLA-A*0201にヒト造血幹細胞を移植して作成したマウスのうち、末梢血中のヒトリンパ球 (CD45陽性)80%以上でヒトT細胞がB細胞に比較して優位に増殖しているマウスをヒト化マウスとして実験に用いた。ヒト化マウスにあらかじめ抗DEC205抗体結合HER2ペプチド-CpG ODN内包ミセルを皮下注射した。比較対照群には抗DEC205抗体のみでHER2ペプチド-CpG ODNを含有しないミセルを用いた。これらのミセルを週に1回、2週間にわたり注射後HER2陽性乳がん細胞株JIMT-1-HLA-A*0201を移入した。移植14日目では対照群で腫瘍サイズ200mm3あり、HER2陽性乳がん細胞株JIMT-1-HLA-A*0201未治療群(前回測定)とほとんど変わらなかったが、抗DEC205抗体結合HER2ペプチド-CpG ODN内包ミセル処置群では腫瘍サイズはその1/2であった。移植21日目でも腫瘍増殖は抑制されていた。以上のことからがんワクチンとして樹状細胞特異抗原に対する抗体を結合したHER2ペプチド-CpG ODN内包ミセルは樹状細胞を有効に惹起し抗腫瘍活性が働いていると考えられる。しかしながら、実用化あたっては更なる実証が必要と考えられる。
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