手のひらサイズの2波長中赤外レーザーを用いて、人種、性別、年齢等に関係なく様々な状態の被験者に対して、キャリブレーションを必要としない(完全採血フリーの)非侵襲血糖値センサーを実現し、糖尿病患者数の増加を抑制するとともに、医療費削減を目指すため、平成30年度は2波長中赤外レーザー発生用の光パラメトリック発振器(OPO)の設計、製作を行った。
OPO発振器内に2個のAGS結晶をタンデム型に配置し、それぞれの位相整合条件を変えることでグルコースに大きな吸収を持つ波長(~9 μm)と吸収がほとんどない波長(~8 μm)との2波長同時発振試験を行った。得られた中赤外レーザー光のパルス幅はいずれの波長のレーザー光においても~10 nsであり、ほぼ励起用Yb:YAGレーザー光のパルス幅と同程度であることが確認された。また、Yd:YAGレーザーの励起エネルギー3.6 mJにおいて、パイロディテクタを用いて、それぞれの中赤外レーザーの出力エネルギーを評価したところ、波長8 μmにおいて出力エネルギー3.1 μJ、波長9 μmでは0.6 μJが得られ、グルコース測定に十分な性能であることが確認できた。
昨年度製作した生体照射モジュールの2波長レーザー光を入射する際、半透鏡で構成されたビームスプリッタを設けて、レーザー光の一部はモニター用光検出器で検出される。したがってレーザー光自身の強度に変動があった場合でも、この変動をモニター用光検出器の出力から認識することができる。
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