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2018 年度 実施状況報告書

経胸壁的体心部静脈血酸素飽和度計測による非侵襲全身酸素代謝計測システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K01407
研究機関公立小松大学

研究代表者

野川 雅道  公立小松大学, 保健医療学部, 准教授 (40292445)

研究分担者 五十嵐 朗  藍野大学, 医療保健学部, 教授 (10570632)
田中 志信  金沢大学, フロンティア工学系, 教授 (40242218)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード酸素消費量計測 / 静脈血中酸素飽和度 / 動脈血中酸素飽和度 / 光電容積信号 / 多目的最適化法
研究実績の概要

経胸壁的体心部静脈血酸素飽和度計測による非侵襲全身酸素代謝計測システムの開発にあたり,最も重要となる要素技術は静脈血中酸素飽和度計測手法の確立である.
動脈血中酸素飽和度計測には動脈血の容積変化を用いる動脈血中酸素飽和度計測法:パルスオキシメトリがある.この手法を応用し静脈血中酸素飽和度計測の実現が期待される肺動脈血(もしくは右心室内血液)の容積変化を体表面から計測することが本研究の目的である.
現在までに多波長(340-850nm)の光電容積信号から指尖部や手掌部の静脈血酸素飽和度を計測する手法の開発に成功した.多波長の検出光に対して光散乱理論を用いた理論解析を当てはめると血液の割合など複数の未知パラメータが存在するため実験値と理論値を容易に一致させることは一般的に困難である.そこでこれら複数の未知パラメータに対して多目的最適化法を適用することで複数の未知パラメータの同時推定が可能となり,静脈血の容積変化を用いずとも,静脈血中酸素飽和度の計測を実現する手法を開発した(特許申請中).
本手法を用いることで,静脈血中酸素飽和度の計測には静脈血の容積変化の検出を前提としていたが,その前提を必要としない計測手法の確立が見込まれたため,当初の目的である体表面からの静脈血の容積変化の検出と合わせて今後の研究開発を進めることとした.本手法の開発により,動・静脈血中酸素飽和度以外のパラメータ,例えば組織に含まれる血液量(%)などの計測(予測)も可能となっている.ただし,本手法を体心部などの深部情報を取得する際には検出光が微弱となることから,一般な小型分光器を用いた実測が困難であった.現在,多波長の高輝度LEDを使用し,順次波長を切り替えて分光計測を行うシステム開発をすすめており,微弱光検出には最近注目されているシリコン光電子増倍管(SiPM)を取り入れた計測システムの評価を行っている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は静脈血の容積変化を体表面から検出することを前提とする静脈血酸素飽和度法の開発であるが,多波長光電容積信号の多目的最適化処理により,静脈血の容積変動を必要としない計測手法を開発し,指尖部などでその可能性を確認した.現在,本手法を体心部に近い体表面に適用し,本来の目的である体心部の静脈血中酸素飽和度計測の確認を行っている.

今後の研究の推進方策

当初の予定であった体表面からの静脈血の容積変化検出による静脈血中酸素飽和度の実現に関して,予定どおり体表面からの静脈血の容積変化検出法の確立を進めるだけではなく,新たに開発した多波長光電容積信号を用いた静脈血の容積変化の検出を必要としない静脈血中酸素飽和度計測法の開発を進め,運動負荷時などにおいて,体心部の静脈血中酸素飽和度計測を実施する.

次年度使用額が生じた理由

分光計測に必要な検出器として,シリコン光電子増倍管(SiPM)用の電子回路を複数作成する必要がある.今年度の段階では近赤外用のSiPMの入手が確定できなかったが(紫外・可視光用のSiPMは入手可能),次年度中に近赤外用のSiPMが入手可能であることが判明したため次年度への繰り越しとした.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] 非接触式温度センサを用いた潜熱式発汗計測装置の開発2018

    • 著者名/発表者名
      坂井紀子, 西川尚志, 野川雅道, 内藤尚, 田中志信, 根本鉄, 戸川達男
    • 雑誌名

      発汗学

      巻: 25 ページ: 6-8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 蒸発熱補償による発汗量計測の試み2018

    • 著者名/発表者名
      西川尚志, 野川雅道, 内藤尚, 田中志信, 根本鉄, 戸川達男
    • 雑誌名

      発汗学

      巻: 25 ページ: 9-11

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2019-12-27  

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