研究実績の概要 |
下肢陽圧負荷を用いる事で心不全患者のリスク層別化について研究をおこなった。これまでの研究で我々は,79例の低圧較差大動脈弁狭窄症患者に対し下肢陽圧により前負荷増大のストレスを増大することで,非侵襲的に推定大動脈弁面積を求めることを可能とし,将来の不幸な転帰を予測に有用であることを報告した(Preload Stress Echocardiography Predicts Outcomes in Patients With Preserved Ejection Fraction and Low-Gradient Aortic Stenosis, Circ Cardiovasc Imaging. 2017 Oct;10(10):e006690).さらに,我々は本年度,左室収縮能が保たれた心不全(HFpEF; heart failure with preserved ejection fraction)を有する260例を対象とし,下肢陽圧負荷を用いることで将来の不幸な転帰(心不全入院や心臓死)の予測に有用かを検討した.下肢陽圧により左房圧上昇が示唆される症例は,下肢陽圧により左房圧が上昇しない症例と比較し,有意に不幸な転帰が多く発現していた (Preload Stress Echocardiography for the Assessment of Heart Failure With Preserved Ejection Fraction, JACC Cardiovasc Imaging. 2022 Feb;15(2):375-378).本研究を通じて,下肢陽圧負荷を用いることで潜在的な左室拡張障害やコンプライアンス低下を推測することが可能となりリスク層別化に有用であることが示唆された.
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