研究課題/領域番号 |
17K01419
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
村上 秀樹 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (20285604)
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研究分担者 |
山部 大輔 岩手医科大学, 医学部, 助教 (30767512)
土井田 稔 岩手医科大学, 医学部, 教授 (60237170)
遠藤 寛興 岩手医科大学, 医学部, 講師 (60458172)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 骨癒合 / フッ素 / 脊椎手術 / 固定金属器械 |
研究実績の概要 |
フッ素は骨などの硬組織と関わりの深い元素の1つであり,血清中フッ素イオン(SIF)濃度は骨代謝の変化を直接反映することが示唆されている.脊椎固定術前後のSIF濃度の推移から手術部位の骨代謝を推測し,臨床における骨癒合判定マーカーとしての意義について検討した.脊椎固定術を施行した25例を対象とし,固定金属器械を用いずに除圧手術を施行した群,1-2椎間の椎体間固定を施行した群,3椎間以上の椎体間固定かつ5椎間以上の後方固定を施行した群の3群に分けた.術前と術後1日,1週,2週,1カ月,3カ月,6ヶ月の空腹時血清を採取しSIF濃度を測定した.術前のSIF濃度は3群間で差はなく0.811~0.826μmol/lの範囲であった.3群ともに術後早い時期にSIF濃度は低下した後に上昇し、再び低下する同じような濃度推移を示したが、3群で時間ごとのSIF濃度レベルの推移に差が認められた.固定金属器械を用いなかった群では術後1日から90日までの変化はわずかであったが,6カ月では術前に比べて統計学的に有意に低下していた.固定金属器械を使用した群では術後2週から3カ月の間で増加傾向を示し,6カ月では減少した.器械を使用した群で術後にSIF濃度が上昇したことは,骨と金属の摩擦により血中へ骨中フッ素が漏出し,SIF濃度の低下は骨癒合の過程で次第に骨と金属が制動化したことを示している可能性がある.これはSIF濃度が骨癒合の状況を反映している事を示唆しており,今後さらなる研究が必要である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フッ素に着目して骨癒合マーカーとしての可能性を解析しており,概ね良好な結果が得られているが,未だ症例数が少なく,更なる研究が必要と考える.フッ素以外にもチタンやコバルトなど固定金属器械中の重金属の血中濃度を計測しているが,まだ解析が進んでいない.
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今後の研究の推進方策 |
脊椎器械固定患者の数をふやし,術前後の血中フッ素濃度のデータを集積すること.固定器械中に多く含まれるチタン,コバルト,ニッケルなどの計測値を分析すること.それらの血中濃度の推移と術後の画像検査による骨癒合の結果を比較検討することで本研究はさらに推進されるものと考える.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度購入予定であった,脊椎器械固定手術に必要な物品を次年度の購入に変更したため.
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