【背景・目的】現在、超音波診断装置のアプリケーションにより以下の3つの画像パラメータが測定可能である:Shear Wave Speed (SWS: m/s)、Dispersion Slope (DS: m/s/kHz)、Attenuation Coefficient (AC: dB/cm/MHz)。 今回我々は、非アルコール性肝疾患(NAFLD)患者において、これら3つの超音波パラメータと組織学的所見の比較を行うとともに、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の診断能に関しても評価した。【方法】対象は2017年4月から2018年11月までに臨床的にNAFLDが疑われ肝生検を行った111症例である。超音波診断装置はキヤノン社製Aplio i800を使用し、肝生検施行直前に超音波アプリケーションにより前述の3つの画像パラメータを測定した。超音波パラメータによる各病理グレートないしステージ、およびNASHの診断能をROC曲線下面積(AUC)でそれぞれ評価し、超音波パラメータと各病理組所見との関連を重回帰分析にて解析した。【成績】S>=S1、S>=S2およびS=S3と診断するACのAUCはそれぞれ、0.884、0.857および0.785であり、A>=A1、A>=A2およびA=A3と診断するDSのAUCはそれぞれ、0.952、0.806および0.852であり、F>=F1、F>=F2、F>=F3、F=F4と診断するSWSのAUCはそれぞれ、0.785、0.878、0.900および0.951であった。3つの超音波パラメータのロジステック回帰モデルによるNASH診断のAUROCは0.806であった。【結論】超音波アプリケーションにより計測される3つの画像パラメータ:SWS、DS、ACは、NAFLDの組織性状を反映しており、NASH診断において有用である。
|