研究課題/領域番号 |
17K01425
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
内野 泰 東邦大学, 医学部, 准教授 (60338332)
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研究分担者 |
弘世 貴久 東邦大学, 医学部, 教授 (40384119)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | インスリン / アミロイド重合 |
研究実績の概要 |
世界数千万人の糖尿病者が毎日インスリン注射を行うが、皮膚より薬剤を投与するため吸収率が皮下脂肪組織に依存する。 インスリン皮下注射を行っている糖尿病患者は同一部位への注射を繰り返すうちに皮下に特有の結合組織の「偽性腫瘤:インスリンボールとも言う」を生じる。この腫瘤部位からのインスリン注射は、皮下吸収が妨げられ、インスリンの効果が十分に発揮されないケースが多く注射部位を変更するよう患者に指導している。また腫瘤部に合わせて薬剤量を設定すると健常部では薬効が強くなり低血糖となる。これらの問題を回避するためにヒト腹壁皮下組織の可視化が期待されている。
しかし現在、ヒトを対象にしたインスリン皮下腫瘤の特性・存在範囲を定量化する方法はない。したがって皮下組織の腫瘤がどの程度、製剤の吸収率・血糖値に影響するかは不明である。見えない皮下組織を精緻に描出する方法が無い。我々は腹壁全体にわたり微小音響圧を利用した超音波装置(acoustic radiation forceimpulse: ARFI)で皮下組織の「3次元-地図」を作製する。
1)腹部皮下脂肪組織からの3次元-地図を作製し高度腫瘤部位を定量可視化する。 2)インスリン投与腫瘤部と健常部の比較からインスリン吸収率、蛋白分解酵素、アミロイド蛋白などを解析する。皮膚直下の3次元地図を利用し、安定したインスリン至適投与方法を確立することを研究の目的にしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)インスリン注射治療中で注射部位の皮下腫瘤を呈している糖尿病患者を対象に、表在超音波検査においてVTTQを用いた皮下腫瘤の硬度の測定を行い、定量化することを目的としている。対象者のエントリーが済み、順調に進んでいる。 2)今後、特定されたインスリン誘導性皮下腫瘤部位と健常部位におけるインスリン製剤の吸収・力価に対する薬力学的評価を行う。腫瘤部位から得られたパン チバイオプシー検体からインスリン蛋白分解酵素、アミロイド蛋白などの遺伝子発現はリアルタイムPCR法を用いて確認する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
インスリン投与皮下組織腫瘤部と健常皮下脂肪組織の比較からインスリン吸収率、蛋白分解酵素、アミロイド蛋白などを解析する。皮膚直下の3次元地図を利用し、安定したインスリン至適投与方法を確立することを研究の目的にしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由 1)インスリン注射治療中で注射部位の皮下腫瘤を呈している糖尿病患者を対象に、表在超音波検査においてVTTQを用いた皮下腫瘤の硬度の測定を行い、定量化することを目的としている。対象者のエントリーが済み、順調に進んでいる。しかし、3次元の画像解析を構築する時間が遅れた。 2)今後、特定されたインスリン誘導性皮下腫瘤部位と健常部位におけるインスリン製剤の吸収・力価に対する薬力学的評価を行う。腫瘤部位から得られたパンチバイオプシー検体からアミロイド重合蛋白の免疫染色を行う。次年度使用額はこの特異抗体購入の予定である。
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