研究課題/領域番号 |
17K01430
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
藤井 敏司 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 教授 (80271518)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ / 電気化学 / バイオセンサ / 修飾電極 |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病の原因物質と考えられているアミロイドβペプチド(Aβ)を、迅速かつ高感度にまた安価に検出できるシステムの構築を目指して研究を行った。 我々が開発したAβの凝集を促進させるペプチド(AFPP)を固定化した電極上にAβを凝集集積させ、そこに銅イオンを加えて電流値を測定ことでAβの定量が可能であることを、これまでに示してきたが、これまでの方法では、検出限界が18 nMで、目的とする血漿中Aβを検出するためには、感度が不足していた。 そこで、本年度は、電極の表面修飾による高感度化およびAFPPの変異体の探索によるAβ凝集能の向上による高感度化を検討した。その結果、金ナノ粒子修飾により、実効表面積を約90倍に拡大し、そこにAFPPを固定化したところ、みかけの感度が約40倍向上した。また、Multi-Walled Carbon Nanotubeで修飾した電極では、実効表面積を約7倍に、みかけの感度を約27倍向上させることができた。さらに、AFPPの変異体AFPP(H6P)を用いると、従来のAFPPより約3倍凝集能力が向上することが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感度向上については、おおむね予定通り進捗したが、本研究費で新規に購入したインピーダンス測定を有効に活用するところまで、実験を詰め切れていないため。
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今後の研究の推進方策 |
これまで様々な条件を検討することにより得られた感度向上のノウハウを統合して、血漿中のAβを測定できるレベルにまで感度の向上を目指す。その際、インピーダンス測定を有効に活用して修飾電極の作成および検出を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入したInterface 1000E ポテンショ/ガルバノスタット/ZRAの販売価格が見積もり時よりも大幅に値下げ(約50万円)されて残額が増えたことが最大の原因である。次年度以降、残金分を有効に活用して(ノイズ軽減のファラデーゲージの購入など)研究を遂行していきたい。
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