研究課題/領域番号 |
17K01434
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金澤 悦子 東北大学, 大学病院, 看護師長 (10447154)
|
研究分担者 |
石幡 浩志 東北大学, 歯学研究科, 助教 (40261523)
齋木 佳克 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50372298)
遠藤 英昭 東北大学, 大学病院, 助教 (80168830)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | マンパワー節減 / 作業の安全性 / 業務量調査 |
研究実績の概要 |
歯科治療用の鋭利で繊細な切削用器材や根管形成用器材(以下、器材)の再利用にあたり、洗浄~滅菌および供給の労力および穿刺による感染事故を抑止する観点から、自動的に仕分けしパッケージするシステム開発を行い、器材の形状およびマークを読み取る判別可能なアプリケーションを開発する。これを東北大学歯科において日常的に多く用いられる再利用器材に応用し、これまで全て滅菌供給業務部門で、手作業で扱われていた器材を対象に自動仕分けシステムへ応用、構築したシステムを用いたマンパワー節減効果および作業の安全性への効果を検証することとした。そのため、当該年度ではマンパワー節減効果および作業安全性への効果を把握するため、それぞれの器材の作業状況の業務量調査を行った。また、洗浄行程後の段階で対象となる器材の目視確認後、拡大鏡および顕微鏡による残遺状況や汚染付着の状況を調査した。 その結果、回収・洗浄~セット化までの作業状況においては専属1~2名の職員で5時間/日要していた。特に、専用容器で回収した後に自動洗浄器で洗浄する際、網容器に移し替えるが、鋭利な器材が突出しやすく職員の受傷のリスクが高まっていたこと、器材の破損や屈曲により交換せざる得ない状況が生じていたこと、自動洗浄器を用いた洗浄後の器材にセメント等の付着物が残遺しており、ブラシや拡大鏡を用い除去する作業に約1時間、器材のセット化に約2時間要しており、全体の6割を占めていたという結果が得られた。 そのため、器材を取り扱う職員の感染リスクや負担軽減、残遺した付着物の器材を判別除去できかつ効率的にセット化が可能な自動仕分け装置の作業の自動化のための基本アプリケーションを次年度より整える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、1.臨床現場で再利用される歯科用器材(以下、器材)の現状把握と洗浄不具合状況の多面的調査、2. 画像計測による付着汚染物判別アルゴリズムの検討を掲げていた。1については、自動洗浄後の器材への付着物の残遺状況(付着物の内容、素材への影響)、器材を取り扱う職員の業務量調査を実施し状況を把握することができた。2については、現状の器材の形状および目視確認後に器材の不具合(欠損、屈曲、付着物の残遺など)を計測する画像分析ソフトウェアをベースに、器材の切削刃部の形状やサイズに応じた判別・抽出型アルゴリズムによって、指標化する画像処理評価システムを検討しているところである。これには、仕分け対象となる器材の規格に応じ仕分け~セット化する機能と不具合のある器具を判別し不良ボックスに仕分けする機能も含まれるようにする。
|
今後の研究の推進方策 |
平成30年度以降は計画通り、臨床現場の業務フローに則った装置の作業工程と能力の検討を行う。歯科器材自動仕分け装置の試験装置の仕様を検討する。作業の自動化のための基本アプリケーションを整えるために、臨床現場の業務フローに則った装置の作業工程および装置の能力を検討する。作業工程には、回収・洗浄、検品仕分け・収納・セット化、供給の工程があることから前年度で得られた業務量調査結果を踏まえ、装置の収納数や処理能力、装置サイズを歯科診療に携わっている歯科医師と検討する。評価は歯科器材自動仕分け装置の開発および作業工程・装置の能力について、材料部職員と歯科医師を対象に実施する。以上の結果に基づき、歯科器材自動仕分け装置の効果についての検討を行い、最終的に装置の稼働を目指す。
|
次年度使用額が生じた理由 |
自動選別用アプリケーションソフトの仕様策定において、選別対象となる歯科用器材に新たな根管形成器材が導入され、今後、高頻度で再使用のための再処理作業が行われる見込みとなった。これを含め、歯科用器材の需要状況に変化が生じたため、研究対象となる選別対象器材を再検討する必要性が生じた。さらに、自動仕分けシステムの人工知能にディープラーニングを導入することも考案され、システムの拡張性、発展性を十分に見越した上で、アプリケーションソフトの仕様策定を行うことが有意義と考え、その設計仕様の見直しならびに、新たなアイディアを盛り込むこととしたため、その経費分を次年度使用額に計上した。 次年度は、改訂仕様に基づくアプリケーションソフトの製作を行い、それによる運用テストによって改善したシステムの評価を実施する。
|