カフを用いずに血圧を測定できるカフレス血圧計が普及し始めている。しかしながら、わが国では医療機器としての承認は得られていない。また、国際標準規格も制定されていない。そこで、本研究では、①国際標準規格の骨子を作成すること、②医療承認のための議論、③啓蒙活動、④非薬機法での規格の可能性についてについて研究をすすめた。その結果、当初予想していた以上の成果を得られた。 ①国際規格を作成するにあたり、国際標準規格の骨子を作成し、提案先の日本医用機器工業会(日医工)の非侵襲血 機器部門(NIBP)委員会に提案の準備を行った。委員会では、カフレス血圧計の規格についての特段の反対意見はなっかったが、わが国から積極的に動くには時期尚早との意見もあった。また、国際規格原案を、ISO/TC121へ提案するために有志による委員会を立ちあげた。 ②医療承認のための議論: カフレス血圧計の上市を考えている企業と協力して、規格に必要な精度、安定性の検証を行った。その結果、カフ式血圧計と同等の精度が得られた。この情報はPMDAと共有し賛同を得た。また、同時に機械学習を用い、校正が不要な血圧推定アルゴリズムの検討を行った。 ③啓蒙活動: カフレス血圧計の有用性について国際的な関連学会での啓蒙活動(国際学会、ワークショップで以下の教育講演を行った。IEEE sensor council )を行うとともに活動報告を情報公開した。 ④非薬機法での規格の可能性: IECとの意見交換は理解を得られず中断した。しかし、健康管理システムとしてのセンサの役割は重要であるので、 引き続き意見交換を行っていきたい。
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