研究課題/領域番号 |
17K01445
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
大田 哲生 旭川医科大学, 医学部, 教授 (20233132)
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研究分担者 |
齋藤 司 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70516335)
及川 欧 旭川医科大学, 大学病院, 助教 (70568641)
橋本 泰成 北見工業大学, 工学部, 准教授 (80610253)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脳卒中 / 片麻痺 / 上肢機能障害 / 急性期 / Brain Computer Interface |
研究実績の概要 |
急性期脳卒中患者の上肢機能障害改善に対するBrain Computer Interface(BCI)の技術を応用したリハビリ訓練方法の効果を検証することを目的に研究を進めている。対象患者数を11名に増やして結果を検討した。訓練開始の平均日数は発症後7.6日で発症後25.5日まで週5日、1日に1~2回の訓練を施行した。Fugl-Meyer Assessmentで評価した上肢機能は平均で44.8から47.5に有意に改善し、Stroke Impairment Assessment Setで評価した上肢機能は平均で近位は1.9から3.0に、遠位は1.8から2.6に改善した。脳波の出力結果から計算される識別率は訓練開始当初は60%台であるが、訓練終了時には90%台に改善を認めた。 また、訓練開始からの時期別(1W:0~7日まで、2W:8~14日まで、1M:15日~28日まで、2M:29~56日まで)で麻痺肢の運動企図時の損傷脳の運動野におけるEvent Related Desynchronization(ERD)の程度を分析してみると1Wでは明らかなERDを認めなかったが、2W以降ではERDの出現を認め、2MでERDの程度が最大に達していた。 以上のことより、発症後1週間以内では、損傷脳の運動野の活動は脳浮腫などの影響により適切に行われていないことが考えられるものの、発症後2週間までには、正常に近い活動に回復してきており、1か月から2か月の経過のもと、ERDの強度が増してくることがとらえられた。 慢性期では損傷脳の運動野のERDをとらえることは容易ではなく、運動皮質レベルの廃用が生じていることが考えられるが、急性期からBCIの技術を応用した訓練を行うことで、この皮質レベルの廃用を抑えられる可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
急性期脳卒中患者の上肢機能障害改善に対するBrain Computer Interfaceの技術を応用したリハビリ訓練方法の効果を検証することを目的に研究を進めている。測定環境の設定は終了し、対象患者数を増やして結果を考察する段階にきており、少しづつではあるが、対象数を増やすことができているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は対象患者数を増やして結果を検討することが必要であるが、本研究で使用しているBrain Computer Interfaceの機器はPMDAの承認を受けていないため、特定臨床研究に該当する。特定臨床研究の承認を得ることを目標としているが、現段階では研究の承認を得ておらず、次年度の研究を一時的に待機の状態とすることを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ取得の効率化を図るため、脳波電極等の測定機器の購入を予定していたが、研究の対象となる入院患者が想定より少なかったため、購入せずに測定を継続した。翌年度には、物品をそろえてデータ取得を行っていく予定である。
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