研究課題/領域番号 |
17K01447
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
飯塚 統 東北大学, 大学病院, 助教 (50334660)
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研究分担者 |
西尾 慶之 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (90451591)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脳腫瘍 / 機能的MRI / 覚醒下術中機能マッピング |
研究実績の概要 |
平成29年度は6例の言語優位半球側に病変の主座をもつ脳腫瘍患者に対して、機能的MRI(以下fMRI)と覚醒下術中機能マッピングを併用した腫瘍摘出術を実施した。病変は前頭葉が3例、側頭葉が2例そして頭頂葉が2例であった。 6例中2例は術中に脳梗塞を発症したことから一時的に発語失行が加わったものの、3ヶ月の経過で概ね術前の言語機能の水準まで復した。また1例は疼痛のため覚醒下手術を断念せざるを得なかったことから、術前におけるfMRIの結果を参照しつつ全身麻酔下で腫瘍摘出術を進めたが、幸いにして術後に明らかな言語症状の悪化を認めなかった。残る4例については一過性の悪化もなく、術前後でのWAB失語症検査と失語症語彙検査において有意差を認めず良好な術後経過を辿った。以上よりfMRIと覚醒下術中機能マッピングを併用することで機能温存の精度は高められることが示唆された。 また6例中1例では術前のfMRIにおいて腫瘍前部に位置する下前頭回三角部に明瞭なピークが認められていたところ、同部の直接皮質電気刺激により再現性のある発話停止が確認された。このことから、fMRI 所見は真の言語機能を反映した所見を提示しうるかを確かめることができた。 この他、6例中2例において術後に若干の賦活領域の変化を認めたものの、その意義づけについては再手術とならないと判断が難しいことから、手術前後でのfMRIの対比により言語関連領域に術後の移動が認められるかについては確認に至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調な進展ながら、術後に言語関連領域が移動するか否かについては再手術時の評価も加える必要があることから今しばらくの経過観察を要する。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度と同様の研究を続ける。同時に平成29 年度の脳腫瘍手術で部分切除に終わった症例では3 ヶ月毎に頭部MRI の再検を行って再発の有無を確認し、万一再発を認めれば上述した評価を繰り返す。 初回手術時に言語関連領域に首座を置く脳腫瘍症例において腫瘍外への言語機能の移動が確認できれば、2 回目の手術では腫瘍の切除範囲の拡大もしくは全摘出術が可能となることが期待される。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品の購入が遅れたため。平成30年度に随時購入予定。
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