膠原病には多くの合併症があり、その中に間質性肺炎などの肺疾患がある。これまでの横断的研究で、膠原病の一つである全身性強皮症において間質性肺炎と運動耐容能との関連性を示してきており、インピーダンス法を利用した非侵襲心拍出量計による運動中の心機能評価で、1回拍出量と肺機能や6分間歩行距離との間に相関があることが見いだされた。 本研究では、横断的研究でデータを得られた症例を縦断的に複数回評価し、心機能や運動耐容能の追従性を検証することを目的とした。評価方法としてはこれまでと同様、インピーダンス法による運動中の心拍出量、1回拍出量、心拍数とした。また、同時に、間質性肺炎による生活の質の経時的変化にも注目し、呼吸循環器機能との関連性において生活の質に与える影響についても検討しており、全身性強皮症では特発性間質性肺炎と異なり、肺高血圧症と6分間歩行距離がその要因となることを示すことができた。また、皮膚筋炎・多発性筋炎についても同様な研究を実施したところ、筋力低下などの要因も考えられ、肺機能との特異的な関連性は認められなかった。 横断的研究で得たデータは約100例であり、本研究ではその中から縦断的なデータを順次学会報告し、2021年6月にも報告予定である。その内容として、全身性強皮症では運動中の循環器応答は症例によって経過が異なり、心エコーで得られる測定値には関連するものがなく、影響する要因として肺拡散能の追従性が統計的にも良好で、しかも6分間歩行距離とも有意な関係性が認められた。以上のことから、心エコーの左室収縮能、拡張能では検出できなかった1回拍出量の減少は心機能自体の低下によるものというより肺機能低下の影響であることが縦断的にも示唆され、そのメカニズムとして肺機能障害によって生じる体力低下の存在が一因となっていると考えられた。
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