研究課題
平成29年度は歩行律動同期型脳・末梢神経筋のハイブリッド刺激を行うための刺激パラメータの設定、歩行パラメータ記録装置の準備を行った。歩行律動同期型脳刺激として、経頭蓋律動性直流電流刺激を用いることとし、電流強度について、複数のパラメータを検討した。経頭蓋律動性直流電流刺激の振動刺激周波数に引き込まれて、神経活動が刺激と同期して活動し、刺激後もその活動が増強するようにパラメータを整えた。DC offsetをプラスとした頭蓋律動性直流電流刺激を用いて、神経可塑的変化、長期増強を誘導できることを目的とした。本研究は、歩行中に生じる脳律動を強化する律動性脳刺激と末梢神経筋刺激によるハイブリッド刺激という新たな介入法を行う予定としている。また、本研究では、歩行中に刺激を行うことにより、歩行特異的神経筋ネットワークに対し、きわめて効率的に連合性可塑性を誘導できるため、神経可塑性誘導が困難な難治性歩行障害をもつ神経疾患患者において歩行機能再建をめざすことが可能となることが予測される。今後は非侵襲的脳機能イメージングを用いて歩行機能再建に関わる脳内ネットワークを解明することにある。本研究の結果、重度歩行障害を回復させる事ができれば、車椅子での生活を余儀なくされている多くの患者にとって生活の質(QOL)、日常生活能力(ADL)の向上が期待される。また、車椅子の患者が歩行可能になれば、高齢化社会の日本において、生産人口の増加という点でも社会的意義は非常に大きい。また、ヒトにおける歩行機能再建に関わる脳内ネットワークを解明する事ができれば、機能再建に役立つばかりでなく、解明される脳情報をBMI制御などに用いる事で、機能代替としてより効率的な義足・下肢装具の開発のための基礎技術につながり、新たなニューロリハビリ開発の礎となると考えられる。
3: やや遅れている
現在当該研究について倫理委員会に申請中であるが、研究者が所属する施設において認定審査委員会を新たに立ち上げるとのことで、すべての臨床介入研究の審査が停止された。そのため、認定審査委員会が立ち上がるまで審査が進まず、当該研究の進行が遅れている。
研究者が所属する施設の倫理委員会の審査が通り次第、健常者および患者を募集し、研究を進めていく予定である。
当該研究に必要な物品について、研究準備日程の影響等により当該年度で購入ができなかったため。翌年度は必要物品を購入し、研究を進めていく予定である。
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耳鼻咽喉科・頭頸部外科
巻: 89 ページ: 471-475
Brain Stimul.
巻: 10 ページ: 576-578
10.1016/j.brs.2017.02.005.