研究課題/領域番号 |
17K01456
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
下堂薗 恵 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (30325782)
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研究分担者 |
余 永 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (20284903)
宮田 隆司 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 講師 (80404507)
衛藤 誠二 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (70295244)
野間 知一 日本福祉大学, 健康科学部, 教授 (10535793)
松元 秀次 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (80418863)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | リハビリテーション / 脳卒中 / 運動障害 / 片麻痺 / 促通反復療法 / 振動刺激 / 電気刺激 |
研究実績の概要 |
本邦における脳卒中の有病者は約280万人で、要介護の主因となっており、麻痺や痙縮などの運動障害はADLやQOLの低下と共に患者や家族にとって大変深刻な問題となっている。団塊の世代が後期高齢者となる2025年まで更なる増加が見込まれ、これらの障害回復を促進する新たなリハビリテーション治療の開発は喫緊の課題であり、これまで我々は革新的な方法を開発、発展させてきた。本研究の目的は、脳損傷に伴う片麻痺や運動失調、痙縮などの運動障害を最大限に効率よく回復させるために新たなリハビリテーション治療方法を開発し、その効果や作用メカニズムを検証することである。具体的には、促通反復療法をさらに発展させ、独自の振動刺激法や電気刺激など多様な物理的刺激と併用した新たなアプローチを探索することである。 平成29年度に治療的電気刺激を実施の際、効率よく広範囲に、かつ一様に刺激が可能な新たな表面電極を本邦でも使用することが可能であることが判明したため、その電極性能に見合った電気刺激条件を出力可能な電気刺激装置を導入した。それに伴い、平成30年度には通常臨床における応用を進めることで使用法の知見を深めるとともに臨床応用の標準化に向けてデータを蓄積することができた。 一方、我々は脳卒中片麻痺の新たな運動療法として促通反復療法を開発してきたが、痙縮を伴う片麻痺に促通反復療法を実施した場合、痙縮にどのように影響するかについて明確な知見を得てはいなかった。今回、回復期脳卒中片麻痺患者における経時的な変化について対照治療と比較検討した結果、臨床的な麻痺の回復と共に痙縮の客観的指標として用いた電気生理学的指標において有意な改善を認めることを平成30年度に報告することができた。また、経頭蓋磁気刺激の中枢性疾患への臨床応用を推進することで脳損傷後の眼球運動障害への臨床応用について平成30年度に報告することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
各種物理的刺激の効果的併用法の効果の確認に関しては、新たな機器の導入とそれを用いた探索的検討を進める一方で、脳機能測定下に実施可能な各種物理的刺激法の条件設定と機器制作に関して、機能的NIRSによる研究はとりまとめにかかっている一方、機能的MRIを用いた研究においてはデータの蓄積に至らなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後、各種物理的刺激の効果的併用法の効果の確認に関しては、介入前後比較試験を中心にデータの蓄積をはかると共に研究成果をまとめる。脳機能測定下に実施可能な各種物理的刺激法の条件設定と機器制作に関して、機能的MRIでのデータの蓄積を可能な限り推進させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
機能的MRI研究を予定通り実施できなかったため当該助成金が生じた。予定していた機器使用料は次年度以降にこの研究を実施することで使用する。
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