高齢化社会を迎え様々な分野で対策が模索されている中、医療分野では「予防医学」が着目されつつある。これまでの「疾病」に罹患してから「治療」を受けるのではなく、健康寿命に代表される「いかに健康で長生きか」が重要視されてきている。 高齢化社会の中で「認知症」患者の数は急増し、その予防策はまだ見解が一致せずにいる。その中で「運動」は誰もが気軽に・いつでも・継続的に取り入れられるとして着目されているが、「定期的な運動習慣は体に良い」のか家族性アルツハイマー型認知症の危険因子のひとつとされているアポリポプロテインE4のノックインマウスを使用して検証を行っている。対象マウスは自己繁殖で生育しているため、生育状況に個体差があり(妊娠の有無、出産数、出産後の母マウスの世話状況など)、進捗状況としては順調ではない(当初の予定より大幅に遅れている)。 生後8~10週で個体ラベリングを実施し、通常の飼育環境(通常の大きさのケージ)と自動回転ケージ付きのエンリッチメントの飼育環境(通常飼育ケージより大きい飼育環境・自動回転ケージ)で比較・検討している。各月齢時期に、身体状態や認識機能などを計測して経時的な変化(年齢による影響・環境による影響)などを分析している。 また、保有しているアポリポプロテインノックインマウスの平均寿命の一般的データがないため、寿命(自然死する月齢)についてもデータを収集している。 研究施設(動物実験施設)の飼育環境は温度・湿度が一定になっており、また餌や水分などの環境も良いため、一般的マウスの公表されている平均寿命よりもかなり長生きしている。現時点で、アポリポプロテインの保有対立遺伝子の型による差は、性別や対立遺伝子の型、飼育環境でない。
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