研究課題
研究1)目的は、生体に近い微小血管マイクロ流路を血液流動性測定新システムに組み込んで、新規白血球活性化指標の心血管リハビリテーション分野での意義を単施設前向き登録型コホート研究で明らかにすることである。対象は、20~80歳で心血管リハビリテーションに参加する虚血性心疾患や心不全や末梢動脈疾患や心臓外科手術後の患者。リハビリテーション導入前と導入3ヶ月後に採血し、血液流動性試験を行い、同じタイミングで心肺運動負荷試験を実施し運動耐容能を評価する。導入1ヶ月後に活動量計を1ヶ月間貸し出して日常の活動量を測定する。診療録から年齢、性別、BMI、腹囲、ABI、動脈硬化リスク(喫煙、高血圧、脂質異常症、糖尿病)の有無、血液検査データ、治療内容に関する情報、運動療法実施状況質問票、活動量計による歩数と消費カロリー測定を定量的に評価してデータベースに入力する。その後も1年ごとに生命予後ならびに心血管イベントの有無調査を実施する。研究2)エイコサペンタエン酸(EPA) は魚介類の油に多く含まれるn-3系高度不飽和脂肪酸の一種で、血小板凝集能を低下させ血液流動性を改善する。脂質異常症患者を対象としたJELIS研究で、EPAが心血管イベント1次予防に有効であることも明らかとなった。一方、最近の報告によれば、健常者においてEPAを積極的に摂取する事が赤血球膜のリン脂質のEPA成分を増やし心筋及び骨格筋の酸素取り込み能を増加させ運動効率を誘導したが、その機序は不明である。そこで急性冠症候群や心不全で心臓リハビリに参加予定の患者を対象として、EPAを積極的に摂取する追加行為が、血液流動性を改善し白血球活性化を抑えて運動耐容能を改善するかをプラセボ対照の二重盲検法による無作為化割り付け比較試験を実施する。投薬開始前と開始3ヶ月後に採血し血液流動性試験とCPXを実施する。
1: 当初の計画以上に進展している
血液流動性と白血球活性化を同時に評価する方法論については、現在英語論文投稿中(revision)の状態で、近日中に英語論文として報告できると思われる。急性冠症候群や心不全患者を対象としてエイコサペンタエン酸の心臓リハビリテーション効果を高める補助食品としての有効性を、プラセボ対象二重盲検試験で検証中である。目標症例数40例に対して、現在までに30例が登録され順調に研究は進んでおり、検査のトラブルもない。目標症例数に到達しだい、データを固定化しキーオープンして解析を進める予定である。
平成30年度以降の計画研究1,2とも登録症例数を増やし、計画通りフォローアップする。研究が当初計画どおりに進まない時の対応問題が生じた時には、連携研究者や研究協力者とすぐに連絡を取り合い、解決を迅速におこなえるようにする。
(理由)当初の予定より血液流動性測定に関する消耗品の購入が少なかったため(使用計画)血液流動性測定に関する周辺機器、実験器具、マイクロ流路チップなどに前年度使用しなかった50万円相当を使用予定。
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