研究課題
動脈硬化疾患は慢性炎症を基盤とした病態であり、白血球や白血球と血小板の相互作用は動脈硬化において重要な役割を持つ。新しく作成したマイクロチャネルアレイ回路による微細血管モデルを用いて、流動中の白血球活性化の指標を検討し論文発表した(Heart & Vessels 2020)。対象は、健常者79例、糖尿病患者42例、急性冠症候群36例。2種類の抗凝固剤(ヘパリン, EDTA-2Na)を採血管に注入し測定した。また20歳~30歳の健常14例を対象にwearable deviceによる大胸筋を含めた体幹と四肢近位部への電気刺激がマクロとミクロの循環動態に与える影響を被験者が耐えられる最大の強度で検討した。心不全や急性冠症候群治療後の患者において嫌気性代謝閾値での運動療法時にEPAを積極的に摂取する追加行為が、心筋及び骨格筋の酸素取り込み能を増加させ運動療法の運動効率を改善することを二重盲検無作為化比較試験で検証した。健常者に比べ糖尿病患者や急性冠症候群患者ではヘパリン採血管とヘパリン+EDTA-2Na採血管の全血通過時間の差ならびに接着白血球数は増加した。健常者MPO濃度は糖尿病と急性冠症候群と比較して低かった。ヘパリン採血管とヘパリン+EDTA-2Na採血管の全血通過時間の差は、MPO濃度、接着白血球数と正の相関を示し、白血球活性化のマーカーとして使用できることが示された。全身骨格筋電気刺激中ならびに回復期に不整脈は検出されず、血糖低下、乳酸上昇、アドレナリンの軽度上昇、酸化ストレスの上昇がみられたが、血液流動性やin vivo 微小循環指標に変化は見られなかった。EPAの二重盲検無作為化比較試験は終了し、現在解析中である。結語:ヘパリン採血管とヘパリン+EDTA-2Na採血管の通過時間の差は、白血球活性化指標として臨床応用可能である。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (33件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Heart & Vessels
巻: 35 ページ: 268-277
10.1007/s00380-019-01486-y
Clinical Case Reports
巻: 7 ページ: 1608~1611
10.1002/ccr3.2299