運動障害と非運動症状を生じるパーキンソン病などの神経変性疾患について、非運動症状の中で高次脳機能障害、特に前頭葉機能障害と運動障害に対するリハビリテーション効果との関連について検討した。 歩行障害と姿勢反射障害について、各々の障害に対するリハビリテーション効果を三次元動作解析装置と外乱刺激機能をもつ動的重心動揺計などの計測機器を用いて検討した。また、前頭葉機能障害の評価をFrontal assessment batteryを用いて検討した。 昨年度までの検討に加えて、次のような検討を行い、結果を得た。1)歩行障害の改善と姿勢反射障害の改善との相関について検討した。全例およびFrontal assessment batteryが14未満の群での検討では、重心総軌跡長の減少と歩行速度や重複歩距離の増加との間に相関が認められなかった。これに対して、Frontal assessment batteryが14以上の群では、両者の間に相関が認められた。2)動的重心動揺計による検討では、全例およびFrontal assessment batteryが14未満の群では、単位面積軌跡長や外周面積の減少が認められなかった。これに対して、Frontal assessment batteryが14以上の群では、リハビリテーション後に減少が認められた。3)個別に症例を検討した場合、歩行速度や重複歩距離・歩幅距離の増加が認められた症例は、Frontal assessment batteryが14以上の症例だった。12以下では認められなかった。 今回の結果から、前頭葉機能障害と運動障害に対するリハビリテーション効果との関連が認められた。前頭葉機能評価が、パーキンソン病の運動障害に対するリハビリテーション効果を予測する指標となり、有効な症例を見出すための評価ツールとなり得ると考えられた。
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