運動療法が脳梗塞の二次予防や神経細胞死抑制に寄与するかを研究してきた。平成26ー28科研費では、脳梗塞における運動療法が血管内皮障害、線溶機能、血小板活性化、炎症性サイトカインを沈静化する方向に影響することを報告した。運動療法の継続が、血小板活性化の抑制、線溶機能の亢進、血管内皮障害の沈静化を引き起こし、脳梗塞の二次予防に寄与することを示した。本研究課題では、さらに脳梗塞の後に発生するアポトーシスや神経細胞死に与える影響を検討した。初期治療を終えた亜急性期の脳梗塞患者について、運動療法(リハビリテーション)期間中の IL-1β、IL-6、TNF-α、TNFR1、TNFR2、Fas、L-selectinP-selectinを測定し、研究期間中の変化分(ΔIL-1β、ΔIL-6、ΔTNF-α、ΔTNFR1、ΔTNFR2、Fas、ΔL-selectin、ΔP-selectin)を計算し、同期間中に施行された運動療法の平均時間(min/day)との相関関係を解析した。症例集積し解析がほぼ終了し、運動療法の1日当たりの平均時間と、ΔFas、ΔIL-6、ΔIL-1β、ΔTNFR1、ΔTNFR2、ΔP-selectin、ΔL-selectin とが、緩やかな相関関係を持つ傾向がみられた。運動療法の継続が、アポトーシスや神経細胞死の抑制に関連して、脳梗塞の増悪を抑制する可能性が示唆された。また、neuronal growth factor (NGF)、Brain derived neurotrophic factor (BDNF)、Fas Ligand (FasL)、endothelin (EC) の変化Δについても、運動療法の時間とゆるやかな相関関係がみられた。運動療法によりアポトーシスを抑制する可能性が示唆され、二次予防に寄与するころが示唆された。
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