研究課題/領域番号 |
17K01467
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
松田 雅弘 順天堂大学, 保健医療学部, 先任准教授 (40453485)
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研究分担者 |
網本 和 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (70326023)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 経頭蓋直流電気刺激 / 姿勢制御 / 身体性垂直 / 補足運動野 |
研究実績の概要 |
経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation;tDCS)が姿勢に及ぼす影響について,身体性垂直に焦点をあてて検討を始めた.身体性垂直認知(Subjective postural vertical;SPV)は自身の身体が垂直がどうか判断する指標として使われ,私たちの姿勢制御には欠かせない認知の1つである.tDCSが運動機能の向上に及ぼす影響に関してhは今までに報告は多いが,姿勢制御に関する報告は少ない.そこで,姿勢制御に関連する補足運動野(The supplementary motor area ;SMA)に対して,脳活動を促進する陽極の電流刺激を加えることで姿勢制御に及ぼす影響について検討をした.健常成人24名をtDCS (anode: front of Cz, cathode: inion, 1mA, 10min)実施群とSham群の2群に分けた.その実施前後で,1.5°/sで傾斜が変化する装置の上で体幹と両下肢を固定し,前後に15°または20°傾斜させて,閉眼にて垂直位置になった時点を答えさせるSPVの課題を実施した.前後への傾斜はABBABAABとランダムに計8回前後に傾斜させ,垂直位置と実際本人が垂直だと認知した位置との誤差と誤差の標準偏差を算出した.その結果,SPVはtDCSの刺激後に誤差の標準偏差が減少することがわかった.これはtDCSでSMAを刺激することで,姿勢制御のなかのSPVという垂直認知に効果的な影響を及ぼすことを示唆している. 今年度は,MRIによる研究,健常高齢者による検討を進め,tDCSが姿勢制御に及ぼす影響についてさらに検討を進めていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度まで大幅に遅れていたが,健常者研究を開始できた.そのため研究遂行の遅れを取り戻している.今まで姿勢制御についてどのような刺激が有効かについての議論を何度も繰り返していたこと,研究に際しての計測の仕組みを作るのに時間を要し,研究の開始が遅れていた.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,MRIによる研究,健常高齢者による検討を進め,tDCSが姿勢制御に及ぼす影響についてさらに検討を進めていく予定である.また,姿勢制御の能力を評価するために重心動揺計や反応時間も含めて検討をしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度で終了予定だった研究が、研究を再度構成しなおす必要があり、研究開始に時間を要した.昨年度には1つの研究が進められ,今年度遅れていた2つの研究を進めていく.そのため,次年度において必要な経費を保持し,研究を継続していきたい.
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