研究課題/領域番号 |
17K01468
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
佐野 肇 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (80205997)
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研究分担者 |
荻原 敦子 (牧敦子) 北里大学, 医学部, 講師 (20383622) [辞退]
鈴木 恵子 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (40286381) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 実耳挿入利得 / NAL-NL法 / DSLv5法 / 補聴器装用効果 |
研究実績の概要 |
研究Ⅰ:長期間補聴器を安定して装用できている症例の補聴器の実耳挿入利得(REIG)を測定し、NAL-NL2およびDSLv5で計算されるターゲット値と比較した。対象は25人40耳であった。その中で適合十分と判断できたのは34耳、85%であったが、適合十分耳の65dBのISTSに対するREIGは1000Hz と2000HzではNAL-NL2、DSLv5のターゲットと近似しており、圧縮率はDSLv5に近似していた。低音部および高音部の利得は2者のいずれのターゲットよりも小さかった。低音部と高音部の利得の必要性については今後さらに検討する必要があるが、補聴器を安定して装用できている日本人の増幅特性の結果として意義のあるデータが得られたと考えられた。 研究Ⅱ:日本語話者を対象としてNAL-NL2及びDSLv5を用いて補聴器フィッティングを行いその装用効果を比較検討した。18人がこの研究に参加した。参加者の平均年齢は65.7歳(中央値68.5歳、30歳~90歳)であった。NAL-NL2の語音明瞭度の平均は78±14%(Input level 65dB SPL)、75±17%(Input level 80dB SPL)、DSLv5では79±11%(Input level 65dB SPL)、77±17%(Input level 80dB SPL)であり有意差は認められなかった。主観的評価法(APHAB)において、いずれのサブスケールにおいてもNAL-NL2とDSLv5で有意差は認めなかった。最終的に11人/18人(61%)がNAL-NL2を選択し、7人/18人(39%)がDSLv5を選択した。NAL-NL2とDSLv5に有意差は認められなかった。「うるささ」についても有意差は認められなかったが、NAL-NL2の方が好ましいとする傾向を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究Ⅰに関しては予定通り実施され成果を発表し完了した。研究Ⅱについては、COVID感染拡大のため研究参加途中であった症例2例が中止となった。さらにその後も研究実施が不可能な時期が続いた。研究再開後も感染状況の変動により安定した研究遂行が困難な状況が続いた。従って予定症例数に達しない状態で結果を解析することとした。その結果、2つの方法の装用効果にはほとんど差はないことが確認されたため、症例数のさらなる増加の必要はないと判断し、現在成果を論文として投稿している段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
研究Ⅱの成果を論文に投稿している段階である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大に伴い研究実施が遅延したため研究成果の解析、発表にも遅延が生じた。現在論文を投稿している段階であり、今後校正費用および消耗品費として使用する予定である。
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