研究課題/領域番号 |
17K01477
|
研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
西山 康裕 日本医科大学, 医学部, 准教授 (20350077)
|
研究分担者 |
五十嵐 博中 新潟大学, 脳研究所, 教授 (20231128)
若林 あや子 日本医科大学, 医学部, 講師 (30328851)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 脳梗塞モデル / 腸内細菌 / 抗生物質 / 腸管上皮細胞 |
研究実績の概要 |
Liらの報告(Immunity.2015;43:527)に基づき C57BL/6Jマウスに対して抗生物質の混合含有水投与を行い14日間投与を続けた。本学動物実験規程に基づき、総頸動脈からシリコンコートした塞栓糸を挿入して中大脳動脈内を閉塞、 60分後に塞栓糸を抜去し、急性脳梗塞モデルとした(中大脳動脈閉塞術(MCAO モデル))。脳梗塞モデルで抗生物質投与の有無により、腸管免疫担当細胞を解析した。脳梗塞については、同様に24時間後、72時間後に解析する予定であった。しかしながら、60分モデルではモデルが安定せず、マウス死亡率が高いため、実験としての再現性が問題と考え、45分虚血にて行った。これにより生存率が安定し、実験としての継続可能と判断に至った。TTC染色を行い、TTC染色で染色されない梗塞巣を両群間で比較した。このとき、皮質領域、基底核領域について各々測定した。また、同時に脳浮腫率も測定した。さらに、脳虚血前および24時間後、72時間後に神経学的スコアを計測し、両群間で比較した。結果として、1)平均の飲水量は両群ともに一日6mLで有意差を認めなかった。2)抗生物質投与14日間でマウスの体調に変化は認めず、死亡例はなかった。3)虚血後24時間の梗塞サイズにおいて、健常側比にて皮質、基底核および全脳いずれにおいてもvehicle群と抗生物質投与群に統計学的有意差を認めず、脳浮腫率においても、両群間で有意差を認めなかった。4)虚血後72時間の梗塞サイズにおいて、健常側比にて皮質および全脳においてvehicle群と抗生物質投与群に統計学的有意差を認めた。脳浮腫率においては両群間で有意差を認めなかった。血清中および腸管組織に対して各種サイトカイン、HMGB1などを測定していく予定であったが、研究環境の変化により、進めることができなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
スタッフ人員の問題による脳梗塞モデルマウスの作成の実施が困難となり、進展の遅れが認められる。加えて、COVID-19の影響により、研究室の環境変化などによる全般に影響が見られる。しかしながら、2021年後半から実験内容の組み直しにより進めることができることがわかり、現在進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
共同研究者である新潟大学脳研究所の五十嵐博中教授とモデルマウスの供給及び実験計画の適性を話し合うものの、COVID-19の影響により、研究室の使用制限あり、現在のところ進行が止まっている。日常臨床の状況も連日変化しており、研究への従事が一層困難な状況だが、同じく共同研究者である日本医科大学微生物免疫学教室若林講師と実験計画の適性を話し合い、適宜進めていく方針としている。これについては、2021年後半から実験内容の組み直しにより進めることができることがわかり、現在進めているが予算の問題を抱えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた脳梗塞モデルマウスが作成困難となり、実験計画に修正が必要である。また、新型コロナウイルス感染症の影響で臨床業務にエフォートがとられ、実験が遅れている。このため、消耗品などの購入がなく、また学会もオンライン開催となったため旅費の執行がなかったため次年度使用額は生じたが、現在研究計画の変更により、再度進めている。
|