研究課題/領域番号 |
17K01478
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
高橋 哲也 順天堂大学, 保健医療学部, 教授 (00461179)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 末梢動脈疾患 / 身体活動強度 / 重症下肢虚血 |
研究実績の概要 |
平成30年度は昨年からの「研究Ⅰ.末梢動脈疾患患者のEVT後の再入院と身体活動強度の関係」のフォローアップ調査を進めた。研究Ⅰは心臓病センター榊原病院および愛知医科大学病院の2施設で行っている。対象者のリクルートメントは合計で70名、除外者を除いた59名を研究計画通りフォローアップを行っている。研究Ⅰは、退院後1年後までの長期にわたりフォローアップを行うことから、電話での状態確認を行い脱落症例の防止に努めた。 平成30年度は途中経過としてFontaine分類Ⅱ度の末梢動脈疾患患者に対し末梢血管治療(endovascular therapy:EVT)行った15例(平均年齢76.8歳(62~83歳)、男性13例、女性2例)の身体活動量及び身体活動強度を、手術決定日から手術日までの術前期間、退院後1ヶ月、退院後3カ月の計3回行い、退院後3~6カ月での再入院の有無について報告した。結果は、退院後3~6カ月で再入院した対象者は26.7%(4/15名)で、非再入院群と再入院群で退院後3カ月の歩数には有意な差は認められなかった。一方、中強度の活動時間が非再入院群で有意に高値であったことから、EVT後の再入院には、中強度以上の高い活動時間が関係している可能性があることを示すことができた。研究Ⅰはフォローアップ期間が終了するまで行われる。 「研究Ⅱ.重症下肢虚血(CLI)患者の身体活動強度と創傷悪化の関係の分析」については、対象者の高齢化や重症化に伴い、身体活動強度を測定できる歩行可能な入院患者が少なく、対象者の取り込みに難渋した。そのため、下肢創傷の治癒後で歩行可能な外来通院中の患者を含めることで、症例数の増加に努めている。 平成31年度は研究Ⅱに加えて「研究Ⅲ.CLI患者の創傷悪化予防に必要な身体的・運動学的特徴の分析」について進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究Ⅰは、心臓病センター榊原病院、愛知医科大学病院共に対象者リクルートメントを終了し、フォローアップを行っている状況である。2施設の総リクルートメント数は70名で、除外者数11名を除いた59名が総数となった。内訳は追跡中38名、追跡終了21名である。予定症例数は100名であったが、総数は約半数にとどまっている。研究成果の報告については、十分なフォローアップ期間を得ることが出来た登録症例が集まりつつあるため、平成31年度には関連学会への発表および論文執筆を集中的に行う予定にしている。 研究Ⅱは春日部中央総合病院にて行っている。CLI患者の日常生活の身体活動強度を解析し、創傷悪化と身体活動強度の関係を明らかにする目的で行われている研究Ⅱは、歩行が可能な入院患者の症例数の減少に伴い、計画当初の症例数まで達することが難しいと判断し、下肢創傷の治癒後で歩行可能な外来通院中の患者を含めることで、4月28日現在、登録症例が10例と増加しつつある。今後、フォローアップを進めていく。さらに、創傷悪化に影響するCLI患者の身体的特徴や歩行の運動学的特徴を明らかにする目的の研究Ⅲは、足圧計を使用した解析の予備的検証を終了し、平成31年度に本調査へと進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究Ⅰについては、1)継続した症例のフォローアップを行うとともに、登録症例の退院後の身体活動強度と予後についての調査を進める。2)退院後の脱落症例を減少させるため電話での状態確認や、活動量や強度の推移についてのフィードバックの実施にて対象者のフォローアップを厚く行う。3) フォローアップ、データベースアップデートと並行し、学会発表・論文化を進め研究結果を社会へ発信する。 研究Ⅱ、研究Ⅲについては、1)症例数の増加においては、入院~外来まで歩行可能な症例を対象に調査を進めていく。2)調査は再発するまで、継続的に追えるように医師の協力のもと、外来通院を継続できるように調整を行い測定を進めていく。3)再発の要因や再発患者の分析において継続的に調査しながら、学会・論文化を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究Ⅲで使用しているインソール型足圧センサーは消耗品である。現在、使用可能な足圧センサーシートは10枚ある。義肢装具内に使用する場合、皺や亀裂が入る場合が多く、1回で劣化する場合もある。そのため、測定可能な義肢装具の種類や亀裂時の対応など行い、消耗を防ぎながら予定量で進めているが、必要に応じて補充する予定である。 研究Ⅰの消耗品については予定量で問題なく遂行できると予想されるため、追加の必要はないと考える。 学会発表、論文投稿費用については現行の予定通り使用できるよう研究を進めていく。
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