本研究は、高齢者の立位バランスの個人差について検討した。研究1では、加齢が立位バランスにおける個人差に及ぼす影響について調べた。その結果、立位バランスの加齢変化パターンは前後方向と左右方向で全く異なることが明らかになった。特に、左右バランスは70歳頃から急激に悪化すること、これが高齢者の転倒リスクと関係することが示唆された。研究2では、姿勢動揺パターンの個人差と多関節ダイナミクスとの関係について調べた。その結果、姿勢動揺パターンの個人差は、主に低周波成分と高周波成分の振幅の大小によって特徴付けられ、それぞれの動揺パターンは特異的な多関節ダイナミクスを伴っていることが明らかになった。
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